子どもを放射能からまもる会in千葉
終わりの見えない福島の原発事故。情報を集め、調べ、必要な声を上げて行こう

3月15日になにが起きたのか(核種について)

追記:
こんな記事をみつけました。なるほど、というかTe132の検出は核燃料が早い段階で溶融した証拠で文科省傘下の放医研としては触れてはいけない話だったのですね。疑問が氷解しました。

読売 千度以上示す核物質、3月12日に検出していた

東電福島第一原発から約6キロ離れた福島県浪江町で3月12日朝、核燃料が1000度以上の高温になったことを示す放射性物質が検出されていたことが分かった。

 経済産業省原子力安全・保安院が3日、発表した。検出された物質は「テルル132」で、大気中のちりに含まれていた。原発から約38キロ離れた同県川俣町では3月15日、雑草から1キロ・グラム当たり123万ベクレルと高濃度の放射性ヨウ素131も検出されていた。

 事故発生から2か月以上たっての公表で、保安院の西山英彦審議官は「隠す意図はなかったが、国民に示すという発想がなかった。反省したい」と釈明した。
 テルルの検出は、1号機から放射性物質を含む蒸気を放出する「ベント」の実施前だった。
(2011年6月3日23時09分 読売新聞)




7月3日にNHKで放送された シリーズ原発危機 第2回 広がる放射能汚染 が7月9日(土)  午後4時30分~5時19分 から再放送されます。
崎山先生も講演でふれていましたが、事故後3ヶ月もたってから日本原子力研究開発機構(JAEA)が東京電力福島第一原子力発電所事故発生後2ヶ月間の日本全国の被ばく線量を暫定的に試算を公表しました。
人口高密度地域での大規模公衆被曝という前例のない被害の全貌は必ずしも明らかとは言えませんし、特に半減期の短いヨウ素の影響をどう見積もるかは子どもの積算被曝線量を考える上で重要です。

ところで放射線医学総合研究所で公表している 放射線被ばくに関する基礎知識 第6報 に「空気中に存在する放射性物質から受ける放射線量の計算の例」という項目があります。
3月15日に放出された核種は揮発性の希ガス、ヨウ素が主とされていますが、空気中の放射性物質を吸引した事による被曝の推定には空気中の放射性物質の濃度データーが必要です。

下の表の右側は放医研が計算に使用している都立産業技術センターのデーターで3月15日10時~11時に都内世田谷区で採取したサンプル、左側が木村真三氏が3月15日の11時15分~12時15分の1時間台東区の自宅で採取し、京都大学原子炉実験所の今中、小出氏らが分析したもので、数値は『朝日ジャーナル 原発と人間』の記事によりました。(木村さんがサンプルを採取する様子はNHK ETV特集「ネットワークでつくる汚染地図」で放送されました。)

半減期 京都大学原子炉実験所 産業技術研究センター
濃度 [Bq/m] 実効線量[μSv/h] 濃度 [Bq/m]
実効線量 [μSv/h]
I-131 8.04日 845 5.78 241 1.65
I-132 2.3時間 673 0.06 281 0.02
I-133 0.87日 94
Te-132 3.62日 861
Cs-134 2.06年 114 4.11 60 2.16
Cs-136 13.0日 23
Cs-137 30.20年 133 2.46 64 1.18
小計 1410 12.4 646 5.0

実効線量の計算方法は両方とも上記の放医研レポートにある

受ける放射線量(マイクロシーベルト)= 実効線量係数(下の表の値) × 放射能濃度(ベクレル/m3) × 呼吸率(ここでは1日当たり22.2m3) × 日数

を使用しています。京大原子炉実験所ではTe-132も含め実効線量を求めていますが、放医研の項目にあわせました。
(Te132 については産総研のデーター や高エネ研のデーターにも記載がありますので参照ください。量はともかくTe132は事故時には計測されるものだと思いますが、なぜ放医研の計算例から省略されているのかわかりません。)

結論から言えば(te-132を除いた)木村-京大原子炉実験所のデーターから求めた実効線量は放医研の2倍以上になります。
上記の数値は「成人」についてのものなので、5歳児について計算した結果は13.9μSv/hとなり放医研の計算の3倍近くになりました。小児の場合は呼吸率は小さくなるが放射線感受性が高くなるため成人と同等以上になるものと思われます。(呼吸率は体重に正比例するので5歳児の平均体重20kgとして20÷60kg(成人体重)≒0.33 から
5歳児の呼吸率を 22.2m3 X0.33=7.3m3として計算した)

計算に用いた実効線量係数は下表の通りです。
             実効線量係数 (μSv/Bq)
国際放射線防護委員会(ICRP)
核種年齢経口摂取吸入摂取
急速中位緩慢

I-131
成人0.0220.00740.00240.0016
2-7歳0.10.0370.00820.0035
1歳0.180.0720.0720.0062
3ヶ月0.180.0720.0720.0088
I-132成人0.0220.000094
2-7歳0.10.00045
1歳0.180.00096
3ヶ月0.180.0011
Cs-137成人0.01340.0134
2-7歳0.00960.0096
1歳0.0120.012
3ヶ月0.020.02
Cs-134成人0.0190.02
2-7歳0.0130.041
1歳0.0160.063
3ヶ月0.0260.07

実効線量係数について原子力安全委員会は「環境放射線モニタリング指針」においてICRPと異なる数値を提示しているようです。(p.45以降)幼児の呼吸率も8.72という上記の仮定より高い数値を推奨しています。

断わっておきますが、この数値をもって「放医研は過小評価」「隠蔽」などと言う意図はありません。木村氏と都立産業技術研究センターではサンプルを採取した場所と時間が違うという事実だけです
つまり「目の粗いサンプリングというのは、もともとそういうものだ」ということだけですのでくれぐれも誤解なきようお願いします。
計算や考え方の間違いがあれば是非御指摘ください。

あと実効線量は市川先生が解説されているように「60kgの球体(5歳児なら20kg)」に等しく作用するという仮定ですので、甲状腺等価線量係数をなどを用いて具体的に評価する必要があると思います。

つづく
(by otto)


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