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アルマジロとThereminoMCAによるスペクトル入門(もどき)その2

前回の記事でサウンドデバイスのボリューム設定を行ったので、さっそくアルマジロをPCに接続し塩化カリウム線源(やさしお)を使ってエネルギー校正を行ってみます。

3.ThereminoMCAでのエネルギー校正

ThereminoMCAの実行ファイルをダブルクリックするとアプリが立ち上がります。
tm1.jpg 
ところが左端に鋭いピークが見え動作していることは判りますが、それ以外はまっ平らです。メニューバーの「ViewPulse」をクリックして入力信号をモニターすると何やらノイズの様なものしか見えません。
最初に種明かしをするとフォトダイオードを使用したアルマジロでは原理上低エネルギー側(100keV以下)に相当する電圧の範囲にノイズが多く、この状態ではほとんどがノイズ分のカウントです。

放射能測定器「アルマジロ」を徒歩移動測定に転用してみた。 
arm_vs_PMT.jpg
そこで左パネル下のMin.Energy(keV)をデフォルトの10keVから100keVに変更します。変更したらメニューバーの「start new measure」をクリックしてリスタートをかけます。

入力信号もきれいなパルスになりしばらく観察していると右下がりのスペクトルの中にピークらしきものが見えてきます。(下図)
cal1a.jpg
ThereminoMCAで横軸(エネルギー)を操作するのは上画面右下の2つのスライダーだけです。
水平のスライダーはZoomで位置関係はそのまま全体を伸縮します。
垂直のスライダーはPositionでレバーを上に移動するとスペクトルだけ画面右側に移動します。試しに赤矢印のピークが「K40」(1460.8keV)のカーソル位置に合うように動かしてみます。スライダーはレバーをマウスでクリックするとキーボードの矢印キー(←↑↓→)で1ステップごと移動させる事が出来ます。

下図ではPositionスライダーを最大位置まで移動してもピークがK40のカーソルまで届きません。これは最初にボリュームを絞り過ぎた為で対処するには以下の2つの方法があります。
・コントロールパネルからサウンド→録音のプロパティでレベルを上げる
・ThereminoMCAの左パネル中段にある「Audio gain」の数値を増やす(キーボードから数値入力)

cal_under.jpg

逆に下図の場合、ボリュームが過大だと本来画面上に有るはずのピークが右側にスケールアウトしてしまい、左パネル最下段に「Too much signal」と警告がでています。(縦型のレベルメーターも振り切っています)
この場合、前回説明したようにThereminoの「Audio gain」は下げる(数値を0.7とか小さくする)事が出来ないのでコントロールパネルからサウンド→録音のプロパティでレベルを下げるしかありません。
cal3_over.jpg

マイクボリューム(感度)が適切に設定されるとピークをK40の位置に合わせることが出来ます。(念のためPositionスライダーは調整できる余地を残せるように全体の感度配分を決めておく事をおすすめします。)
またピークをカーソルに合わせる場合はピーク幅のおおよそ中心に合わせます(尖頭値ではありません)
合わせにくい場合は左パネルの「IR Filter」の数値を増やしてスペクトルを滑らかにします。
cal_good.jpg

下図の様に十分なカウント数が得られピークがなめらかになったら再調整し、メニューバーから「file」→「Save configration as」をクリックして現在の設定を保存します。
Config_save.jpg

保存ファイル名は日付-時間形式の命名規則ですがわかり易い名前をつけておくとあとから便利です。
これであちこち触って判らなくなっても「Load configrastion」でファイル名を指定すれば元に戻すことが出来るほか、複数の設定条件や検出器を使いわけることが可能です。
th5.jpg


ここまで進んだら他の線源や試料を測定してみます。(下図はCs137線源)
tm4.jpg

下図はランタンマントル(トリウム線源)のスペクトルですが、2.6MeVのTl208のピークも明瞭に捉えられています。(素晴らしい!)
th4.jpg

トリウム線源のスペクトルには複数のピークが存在するので横軸(エネルギー)の直線性を確認するのに便利です。上図右上の「Isotope identifer」をクリックすると核種判別を支援する機能を使用できます。(自動判別ではありません)
ThoriiumuSpectrum.jpg
前回使用した図を再掲しますが、シンチレーターはHP-Geの様に光子エネルギーと出力電圧の関係が必ずしも直線的ではありません。受光素子に半導体を使用したアルマジロは比較的良好ですが、光電子増倍管を用いたシンチレーターのなかには非常に直線性の悪いものもあります。
tm4.jpg
またCsI(Tl)結晶そのものの温度特性によって長時間使用すると温度ドリフトでピーク位置がズレることもあります。
したがって (ThereminoにはEnergy linearizerというユニークな機能はありますが)「全体をほどほどの精度で」「低エネルギー側だけは...」「セシウムが判ればよい」などある程 度の割り切りが必要で隅から隅まで厳密にピーク位置を合わせようとすると徒労に終わる可能性があります。

ベクモニも素晴らしいソフトですがPRA方式の規準パルス学習やBIN/chの割付けなど初心者が「前歯を折る」ような難関を突破しないとスペクトルが拝めません。ThereminoMCAは決して「低機能」ではありませんが、マイクボリュームさえ適切に設定すれば基本的にはレバー1個の調整でスペクトルを見ることができます。
また一度検出器-とマイクボリュームの最適値を確認しておけばベクモニやPRAでのスペクトル採取の際も非常に簡単になります。また「定量」に軸足を置いたベクモニと比較するとThereminoMCAの圧倒的なスピードは特筆ものだと思います。

次回は他の機能とNKomさんVersionのThereminoMCAについて簡単に説明する予定です。

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Comment

ありがとうございます
関西在住です。
今回の記事に後押しされて、アルマジロ、ぽちっとしました、
type3にしました、どれにしょうか少し迷ってました。

これからもよろしくお願いします。
2013.09.08 14:04 | URL | ぴーちゃん #YG9ONXHE [edit]

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