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アルマジロとThereminoMCAによるスペクトル入門(もどき)その1

初心者向けの入門書は専門家が書くものと相場が決まっていていますが、「自宅のPCでγ線のスペクトルが見たいがどうしたら良いか」というニッチな要請に答えてくれそうな専門家はそうそう見当たりません。そこで非力も顧みず..というほどの大げさではありませんが、「やり方」だけ簡単にまとめました。放射線やスペクトルなど原理的な話は良書、良サイトがたくさんあるので省略しますが、ツッコミや質問などいただければは可能な範囲で対応する予定です。

今回は素材として
ハードウエア:アルマジロType3
ソフトウエア:ThereminoMCA5.0
を使用しています。

1.使用するもの

1)アルマジロについて
アルマジロはLEA1インチ角CsI(Tl)結晶と浜ホトP.D(フォトダイオード)を受光素子に使用したシンチレーション式γ線検出器で、光電子増倍管したプローブのように高圧電源が不要でUSB電源で動作可能、出力はPCのマイク端子にそのまま取り込めます。1インチ角結晶の場合は感度が高いので短時間で結果が得られますが、Type1やType2が使えないわけではありません。
4469.jpg

アルマジロについては製造元であるDreamComputerIncのHPや設計者である大久さんのブログ 日々の食材のセシウムを斬る...食品放射能の真実 を参照して下さい。

そのほかアルマジロのユーザーであるtkimura6502さんのまとめ
放射能測定器「アルマジロ」を徒歩移動測定に転用してみた。 も参考になります。

2)ThereminoMCAについて
ThereminoMCAはThereminoグループが開発、無償で配布しているフリーなMCAソフトで(機械翻訳ですが)日本語のページもあります。

ThereminoHPのリンクからThereminoMCA_V5.0(zip形式)をダウンロードして解凍すればすぐに使用できるので、インストールする必要はありません。(USBメモリに展開すれば持ち歩いて出先のPCで使用することもできます。
さらにThereminoMCAにはNKomさんが独自に機能を拡張し日本語化しているブランチが存在します。
【Pico Tech】ThereminoMCA_NKomβ

Cs137_Btl_off_n20-25-30.jpg
拡張された新たな機能は本家版に反映されていくと思いますが、「最新機能を試したい」という方にはお勧めです。それ以外にも放射線計測、測定器についての膨大な資料やリンクがあり、非常に充実しています。特にNKomさんによるThereminoMCAについての日本語ドキュメントさえ読んでいれば、こうした記事は必要ないのですが…。

テレミノMCA 最初の一歩 : Theremino MCA How to 


3)線源
アルマジロは線量計と異なり「校正」された状態で出荷されているわけではありません。ユーザーが線源を使ってエネルギー(横軸)校正をしないと手も足も出ないので絶対に必要です。
thorium.jpg thorium.jpg
ランタンマントル(トリウム線源)と「やさしお」

一般に入手できる線源としてはやさしお(カリウム)、ランタンマントル(トリウム)などがあります。やさしおはドラッグストア、ランタンマントルはホームセンターなどで購入できますがCAPTEN-STAGの3枚組がお薦めでAmazonでも購入できます。
Cs137線源は海外の通販サイトからも入手できるようですが詳細は省略します。(お約束ですがトリウム線源はα核種で吸い込むと危険です。容器に密封してご家族が触らないような場所に保管願います)

4)USB-AudioCodec
PC内蔵のサウンドチップが使用できれば必ずしも必須ではありません。ただし古いPCの音源チップでノイズが多いなどの場合や、より高レートでのサンプリング周波数を利用したい場合に検討します。(96~192kサンプリングのもので数千円で購入できます)
USBCodecを利用しデバイスごとの「設定ファイル」を作成すれば使用中のPCに影響を与えず、他のPCに接続して計測することができます。
CIMG0726.jpg
アルマジロ(左下)とUSB-AudioCodec(左からCM119,VT1620A、AS-137を使用したUSB音源)

5)その他
PC:Windows7のPCを推奨します。WindowsXpについてはOS側での細かいボリュームコントロールが難しいという話を聞いていますが、実際にデーターを取って確認したいと思います。Windows8については充分テストしていませんのでご了解下さい。余裕があればWindows7搭載の中古ノートPCを入手すれば測定環境を持ち歩けます。(ThereminoMCAを動作させるのであればCPUパワーやメモリはさほど必要としません)

遮蔽体:とりあえずスペクトルを出してみるなら必須ではありませんが、低濃度の環境試料を測定しようと考えるなら準備しておいても良いと思います。鉛でなくとも鉄やその他の金属(ただし比重の大きいもの)ペットボトルに詰めた水なども使用できます。


2.サウンドチップ(カード)の設定

アルマジロはP.D(フォトダイオード)ですが、光電子増倍管などの受光素子を使用したシンチレーションプローブと同様に結晶にγ線が入射すると光→電気信号を発生します。下の図はアルマジロの出力をPCのマイク入力に接続、Audacityで音声信号として「録音」したものです。(□内は拡大図)
信号(パルス)の一つ一つが検知したγ線に相当し(信号の強さや間隔はバラバラですが)信号の強さ(山の高さ)がγ線のエネルギーの強弱と比例関係にあります。
Ac01a.jpeg

下図は「文科省 放射能測定シリーズ No7  ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリー」にある図に「落書き」したものです。エネルギーの大きい核種ほど遠くへ飛んで、より右側の「さや」の中に落ち、ある時間観察すると核種ごとにピークが見えてきます。つまりスペクトルは、エネルギー毎のγ線の個数を数え上げたヒストグラムと考える事ができます。
RadNo7.jpg

下図は実際にウラン線源を測定した信号の強度とスペクトルでの位置関係を示したものです。(音量ボリュームを大きくし過ぎると飽和してしまい有る高さ以上の信号が全て同じ大きさになってしまい、高エネルギー側のスペクトルが取れなくなります。)
Spect.jpg

つまりPC(ソフト)で処理するのは音声信号なのでボリュームが小さいと音が聞き取れず、大きすぎると音が割れてしまい大きな音が歪んでしまいます。要は最小-最大の音のレベルをスペクトル横軸にうまく割り振ってやるために適切なボリューム位置(感度)を設定してやる必要があります。
つぎにVT1620Aを使用したUSBCodecを例にしてマイクのレベルを調整する手順を説明します。
 
1)下図はWindows7のデスクトップ画面ですが、「スタートメニュー」→「コントロールパネル」をクリックして「ハードウェアとサウンド」を選びます。
001_201309050735112e2.jpg

2)「ハードウェアとサウンド」から「サウンド」をクリック
 002_20130905073513cdf.jpg

3)「サウンド」をクリックするとサブウインドウが開くので「録音」タブをクリック、アルマジロを接続したマイク入力が認識されていることを確認します。
003_201309050735159f5.jpg

4)マイクのアイコンをダブルクリック(するかマイクを選択して「プロパティ」をクリック)すると、サブウインドウが開きます。
サブウインドウの「詳細」タブをクリックして、そのハードウエアで使用できる最大のサンプリング周波数を選びます。
(ただし音源チップによってはドライバーをインストールしたりUSB2コネクターに接続しないとチップの能力をフルに利用できない場合があります)
006_20130907062156305.jpg

5)「カスタム」タブ(機種によって呼び方が異なります)をクリックして「AGC」(AutoGainControl)にチェックが入っていたら外します。AGCが有効になっていると信号の強さ(山の高さ)が平均化されてしまいます。
005.png

4)「レベル」タブをクリック、表示されるスライダーを動かしてマイクのレベルを10~20の範囲内に調整します。(この値は使用するハードウエアに依存しますので、実際に測定して繰り返し調整する必要があるかもしれません)
実はThereminoMCAでもマイク感度を調整する機能がありますが、感度を上げることは出来ますが下げる事はできないのでOS側で絞ってTheremino側で感度を上げながら微調整するのがベストだと思います。
004_2013090507351645a.jpg

ここまで設定したらThereminoMCAを立ち上げてみますが、長くなったので続きは別記事でまとめます

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