子どもを放射能からまもる会in千葉
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「毎日平和にくらしたい」 阿部農園だより2013年夏

福島市西部の梨農家である阿部農園の阿部一子さんについて、このブログで何度かお伝えしてきました。
「毎日平和で くらしたい」
毎日平和でくらしたい」 阿部一子さんを囲んで

昨年の8月にはSWR(株)のご協力を得てちば市民測定室しらベルのメンバーとともに阿部農園の調査にうかがいました。
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梨の樹皮のβ線汚染密度(Bq/cm2)の測定(SWR山口さん)

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梨畑に保管されていた剪定枝や樹皮

その阿部農園にも大きな変化がありました。福島市の果樹農家を対象とした「除染モデル事業」に応募し梨園の大規模な除染が行われました。阿部さんご夫婦にとっても悩みながらの決断でしたが梨園の状況もすっかり様変わりしています。今年6月に阿部一子さんの古い友人でも有る「まもる会in千葉」代表長谷川弘美が共通の友人達と阿部農園を訪問しお話をうかがいましたが、今回阿部一子さん手作りの「阿部農園だより」でこの間の経緯が詳しく述べられています。
福島の今を知る上で貴重な資料だと思いますのでご一読ください。

阿部濃園だより_2013年夏.pdf(オリジナルの画像pdf)



阿部農園だより(2013年6月)
6/7梨畑の除染が終わりました。(平成25年)

2013年1月末、福島市農業振興課から平成24年度の事業として、果樹園の表土除せんモデル事業への協力願いの文書が郵送されました。(環境省→県→市が計画、実施主体)
去年収穫した梨からは
1kg中 3~8ベクレルの放射性セシウムが検出されましたが
                    2013年
セシウム134の半減期は2年  50%消滅
セシウム137の半減期30年   5%消滅
秋に収穫する梨からは放射性セシウムはほとんど検出されないのではと思います。
郵送された文書の中に県の果樹研究所の試験では表土を5㎝剥ぐことによって放射性物質が86.7%除去されたと書いてありました。
畑の表土を5㎝削り取るということは土の栄養分もとられてしまうことになります。
今年の梨からはセシウムがほとんど検出されないとしたら、栄養たっぷりの表土を削り取る除染は、やらない方がいいという選択をした人が多く協力を申し出たのは52件(一割程度)だったそうです。
“ここで農業をして生きていく”と決めたのだから何でもやれることはやって前へ進もうと私達も“協力します”と返事をだしました。
福島市で初めて取り組む果樹園の除せんですから”実験的モデル事業“ということになります。24年度としてりんご、桃、さくらんぼ、梨の4園地を除せん。うまく行けば(空間線量が下がれば)25年度には9園地に拡大して実施するそうです。
梨畑は我家の畑になりました。
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3月の初めに、市と除染業者(住宅の除染のみで果樹園は初めてとのこと)、私達の三者打ち合わせ会がありました。1.2ha(ヘクタール)の梨畑の表土を5㎝削り大型の土のう袋(1m3 …1トンの土が入ります)に収納。1.5mの穴を掘り、汚染土の入った土のう袋を並べてその上に50㎝の土をかぶせることによって放射能は98%遮へいされるということでした。
今福島市には仮置場が1つしかなく除せん後の汚染土を運び出す所がないので現場保管です。(仮々置場と呼んでいます)
福島県内の学校、幼稚園、保育園、公園など全て現場保管で穴を掘って埋めています。
孫の通う保育園では2年が経過して園庭のまん中が沈んできています。福島民報新聞によると2012年12月の時点で現場保管は4811ヶ所でした。今はもっと増え続けています。

市では3年以内に仮置場を作る予定で、仮置場が出来たら畑に埋めた汚染土をそちらに移動するようです。
優先されるべき所は、子どもたちの所からで畑の汚染土は後回しになり、10年後、20年後なってことになる可能性大だね、と良造氏と話していますが…果たして???
3月26日除せん業者の人が定点で空間線量を測定するポイントを作りにやって来て、34点にピンクのリボンを付けて行きました。
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原発事故後、福島大学に“うつくしまふくしま未来支援センター”が出来ていろんな分野(農業面も)研究や支援をしているので、そこに電話して、1.2haの畑を除せんする場合、計測ポイントは何カ所にするのが妥当かをたずねた所、「農地には規準がないので分かりません」とのこと。市役所にたずねると県の指導では10a(300坪)当たり1ヶ所。
市としては畑も住宅並みに10a当たり3ヶ所としたそうです。
表土を5cm削っても作物には影響ないのかたずねると県の果樹試験場に問い合わせてみるとのこと。
梨の実がうまく育たなかった場合は個人で東電に損害賠償請求を出すようにとのことでした。
実験的モデル事業として市で取り組むなら市の農政課が県の果樹試験場、福島大学の支援センター、JAなどが1つになってチームを作って対応すべきことなのに、モデル事業を引き受けた園主が1つ1つ問題を解決していかなければならないというのは、一体どういうことでしょう。この状況はおかしいので改善して欲しいとお願いしたのですが…
それぞれに違う所で動いているのでチームを作るのはむずかしいそうなのです。(何がむすかしいのか、全く分かりません。)
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梨畑は不耕起(耕さない)のそうせい栽培にしていますので雑草が青々と生い茂っています。表土を5cm剥いで雑草と土に分けて土のう袋に入れます。袋の中には遮へい率を高めるためにアルミの袋を入れています。なんとこの袋1つが10,000円。梨畑の汚染土を入れる為に使用した袋は630袋でした。
630袋を埋めるのに20a(600坪)の土地を要しました。
埋めた所は山砂で50cm盛土しローラーで固めて一見平面に見えますが雨が降ると少し低い所に水が溜まっていて時間がたつとホットスポットが出来るのではないかと心配しています。
何はともあれ6月7日、梨畑の除せんは終了しました。
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除せん前と除せん後に畑がどのように変化したのかをきちんと知りたくてプロの測定の方にお願いしました。SWR(株)の人達が千葉県市川市からボランティアで来て下さって継続的に測ってくださっています。
除せん前は0.7~0.8だった梨畑の空間線量は除せんが終わって0.1~0.2μSv/hになっています。このままの状態が続くことを祈るのみです。
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1.2haの梨畑の除せんの予算額は30,000,000円だそうです。現場保管に必要な土地は600坪でした。福島県内の放射性物質で汚染された土を除せんするというのは可能なのでしょうか?
安倍首相は日本の原発を輸出するためにトルコとの間で原子力協定に署名した後「原発事故の経験と教訓を世界と共有し原発の安全向上に貢献していくのは日本の責務だ」と語ったそうです。原発事故はまるで遠い過去の出来事の様に聞こえてきます。原発の事故を起こしたという経験はありますが、それをどうやって収束させるのか、放射能に汚染された土はどうするのか、ふる里に帰れない人達はどうなるのか出口の見えない問題が山積みしています。カタカナで表記のフクシマが本来の漢字に戻ったときにはじめて「原発事故の経験と教訓」という言葉は使われるべきものではないかと思います。再稼働には反対です。第ニのフクシマはいりません。


阿部一子さん プロフィール  
1954年 原町市(現 南相馬 市)生まれ。共立女子短大国文科を卒業後、東京都立足立高等保母学院を卒業。東京で4年間保育士として働き、夫の転勤の為 退職。福島、横浜、大阪を経 て、90年4月、夫の実家の農業を継ぐことを決めて、4人の子どもと共に、福島へ

この文章は阿部一子さんの手書きの「阿部農園だより」から書き起こしたもので、内容については一切変更してありません。写真は阿部さんから提供していただいたものと長谷川弘美が6月に撮影したものを使用しています。
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