子どもを放射能からまもる会in千葉
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「ベクモニ」+ロシア製CsI検出器での土壌放射能濃度測定

横浜市のさんが当方と同じロシア製CsI検出器を使用して土壌放射能濃度を測定されている事を知り、お願いして試料を送っていただきました。

土壌はちば市民測定室のEMF211での測定し
Cs137: 58 ±6 Cs134: 30 ±5 Cs合計:88Bq/kg K40: 162 ±88  (1800秒)
最終的には
Cs137: 58 ±4 Cs134: 33 ±3 Cs合計:91Bq/kg K40: 154 ±64  (3600秒)
という結果でした。

遮蔽体が貧弱なこともありベクレル定量は後回しにして来ましたが同型の装置を比較できる機会でもあり泥縄ですが試料を準備して測定してみました。

CIMG4011.jpgCIMG4009.jpg
鉛遮蔽に水遮蔽を追加(効果なし)使用した350mlポリ容器(百均の綿棒容器)

(1)バックグラウンドデーターの採取

KCL線源などを使ってエネルギー校正を行った後、350ml容器に水(コンタクトレンズ用の精製水)を充填し検出器を乗せてバックグラウンド(ブランク)データーを採取しました。
BG1200.jpg
BG取得時間は「長いほど良い」のですが(実用的には測定時間の4倍程度と何かで読んだ気がします)上図のスペクトルは12000秒でのBGデーターです。

画面右の青枠(1460keV)のピークはカリウム40ですが環境中というより光電子増倍管(真空管)のガラスに含まれるもので、この辺が半導体検出器と比較しての弱点です。
前回の結果もそうですがBGにセシウムのピークが認められるような貧弱な遮蔽ではそれほど精度は期待出来ません。


(2)標準試料を使った換算計数の調整

ベクモニ(に限りませんが)計数率(cps)からベクレル量を求める手順は

・ROI(関心領域)内のγ線の計数率(グロスcps)からバックグラウンド計数率を減算
・上で求めた試料からのγ線による増分(ネットcps)に係数を掛けてBq量に変換
となります。

検出器、測定条件(使用容器、体積)毎の換算係数を求めるには放射能濃度(Bq/kg)が既知の体積線源が必要ですがアイソトープ協会は頒布している単一、混合核種の体積線源は非常に高価で入手が困難です。そのため個人の場合は分析機関に依頼した土壌や玄米などを計数率確認用の体積線源にしているのがほとんどだと思います。

Hanamigawa_Soil1.jpg
上図はEMF211でセシウム合計534Bq/kgと定量した土壌試料を350mlポリ容器に詰めて1時間測定したスペクトルです。

濃い緑色の範囲の面積を求めて係数を掛けるというのは上記の通りですが、直感的に
・バックグラウンドの統計誤差が計数率(ネットcps)の誤差に影響する。
・温度ドリフトでピーク位置がずれると統計誤差以上の大きな誤差が出る ことが判ります。

Cs134 の796keV(実は2つのピークですが)の独立したピークは単独で定量できますが605keVのCs134とかぶる662keVのCs137はNaI(CsI)では単独で定量できません。
そこでCs134(605keV)とCs137(662keV)をまとめてカウントし796keVでのCs134の計数率から放出確率で重み付けした値を使ってCs134(605keV)を減算するというトリッキーな事をしています。
この方法は多くの「ベクレルモニター」と呼ばれる装置で採用されていますが、今後Cs134が減じていくに連れ問題が出てくると思います。(EMF211は「擬似的」にCs137を単独定量していますが本筋でないので詳細は略します。)

BqMoni_Conf.jpg

上図はベクモニの「ROI編集」画面で、設定するパラメーターが沢山あって気が遠くなりますが、とりあえず既知の試料のベクレル量と「測定結果」に表示される標準試料のベクレル量が一致するように赤枠の換算係数を調整します。
Cs137のベクレル量の算出は上記のようにCs134のベクレル量 に依存しているので変更した場合はCs137の数値も必ずチェックします。

今回はその他のパラメーターは触らず「K40補正」は無効にしてあります。(理由は後述)
ROIまでいじりだしたら泥沼状態なのでほどほどで妥協するのが吉だと思います。

 Yokohama_Soil_01.jpg

標準試料での計数率の校正が終わったら実際に横浜市の土壌を1時間測定してみます。(上図)
予想通り有意には検出されていますがバックグラウンド中のセシウムとかぶっていてEMF211の91Bq/kg(セシウム合計)に対して152Bq/kgとあまりよい結果ではありません。

 Yokohama-result.jpg

同じように放射能濃度の異なる試料を同一条件で測定します。下のスペクトルは千葉市若葉区六方調整池の6212Bq/kg(昨年8月時点)の土壌のものです。
念のためですが試料は同一(形状、寸法)容器に同じ容積を詰めて同一の幾何的配置で計測しないとデーターに一意性がなくなります。(「ジオメトリ」「立体角」でググると吉)

Hawabaku_Soil1.jpg

スペクトルを見ると1460keVのK40のピークがずれているように見えますが、高エネルギー側、低エネルギー側はBGとそれほどずれているように見えません。温度ドリフトではなくCs134のサム・ピーク(1400keV)ではないかという気がしますが...。
これに限らずK40は誤差(不確かさ)がセシウムの1桁上なので、カリウムの定量が出来ないうちに「K40補正」を入れると訳が分からなくなります。
元々「素人測定」なので過大評価=「LB200の呪い」を恐れる必要もない気がします、という余談はともかく下は6212Bq/kgの土壌の「測定結果」です。

Wakabaku_result.jpg

最終的に4種類の土壌試料を測定し結果を下表にまとめました。
EMF211
(Cs合計)
RussianCsI
(Cs合計)
RussianCsI
(134/137)
91 152 0.53
534 542 0.50
6212 5710 0.41
11124 9585 0.42

高濃度側ほど過小評価かつCs134の存在比が小さくなっているのがわかります。この結果を基にパラメーターを再度調整する必要がありますが.、現状でもそれほど大間違いはしていないようなので、まずはまともな遮蔽体を用意するのが先決、という結論になりました。

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