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ロシア製CsI2.5インチγ線検出器について

この間ロシア製PMT FEU85と1インチ角CsIシンチレーターを使用した実験を行って来ましたが宇都宮泰氏よりsovtubeに出品されたロシア製2.5インチCsIガンマ線検出器の情報をいただきました。なにせ2インチだとNaIプローブでも8万円CsI結晶だけでも10万円を下らないご時世なので、後先考えず衝動買いしてしまいました(汗)

「sovtubeって怪しそう」とか心配な方はebayでも扱っていますので、海外通販をいとわない方ならそれほど入手は難しくないと思います。(と言いながらsovtubeからの購入手続きは全て宇都宮さんにおんぶにだっこで全面的にお世話になりました、あらためてお礼いたします。)
Russian_CsI.jpg
自宅に到着したCsI検出器(鉛粒+VHSテープケースの遮蔽体)

検出器はUSBケーブル1本以外保証書はおろか取説すらついていません。「ウクライナのガレージメーカー」という話もありますが、現物の仕上がりはそれなりのもので元々OEM供給のアセンブリだというのが正解かもしれません。(当然軍用)
ネット上に簡単なドキュメント(MsWord形式)が公開されていますが、簡単にまとめると

・2.5×2.5インチCsI(Tl)単結晶(貼りあわせではない)
・PMTはFEU-139(12ダイノード、1200V 印加)
・高圧安定化電源、I/V変換、積分アンプ→USB音源チップ内蔵=オールインワンのソケットアセンプリ

conpane1.jpg

実際にUSBケーブルでPCと接続するとWindows7の標準ドライバーでUSB AUDIO CODECとして認識されるので特別なデバイスドライバーは必要ありません。(たぶんWindows8やXp、MacやLinuxでも動作すると思います)したがってUSBの規格内なら数メートルケーブルを引き回しての「リモートセンシング」も可能です。
検出器にはUSBバスパワー(5V )→1600V(max)のDC/DCコンバーターモジュール(型式不明)が内蔵されていますが、24時間通電でカバーに触ってもほんのりとも暖まらないという高効率ぶり(最大パルスレート時で100mA)なのでスマートフォン用のモバイルバッテリーでも動作するだろうと思います(要検証)

気になる点を挙げると
・通電後のプレヒートは1時間程度必要で常時通電がベスト(一応温度補償回路がついているらしい)
・PMTのパルス出力は音源チップのマイク入力に内部で接続されているので、高級機の様にマイクロコントローラ経由で印加電圧、積分時定数、アンプのゲインなどをPCから操作することはできません。(端的に言えば「垂れ流し」)
・内蔵のTexas Instruments製音源チップはサンプリング周波数が44.1KHzと「低速」

あと、この検出器を購入するかどうかの重要な判断材料は分解不可の「地獄組み」だという点です。(アナログ出力の取り出し不可、分解、改造する覚悟があれば別です)

できることは限られているほとんどない←→機械的、電気的(耐ノイズ)に安定している という相反利益?のトレードオフです。

audacity0.jpg  
能書きはこの辺で実際にPCに接続して音源チップのマイク入力から信号を取り込んでみます。
一見して低ノイズで、若干リンキングが見えますがアンダーシュートによるベースラインのフラつきがありません。宇都宮さんによるとあえて低速サンプリングを採用した所に開発者の強いこだわり(低エネルギー側の分解能)があるようです。
ちなみに環境放射線レベル(0.04μSv/h)で200cps超(遮蔽無し)という驚異的な計数率ですが44.1KHzサンプリングだと波高値の正確な再現には1パルスあたり最低10サンプル(ベクモニの設定では16サンプル)必要と考えると「1000cps=6万cpm以上の数値はそれなりに考えてね」ということのようです。

CsI2x2_Shd_Thorium-04.jpg
次はベクモニ0.98βでランタンマントル(トリウム線源)を測定した例です。(300cps超)
FEU-85+1インチCsIシンチの自作プローブではエネルギー校正(横軸)で苦労していますが、さすが「売り物」です。
ベクモニの設定条件は
サンプリング:44.1KHz 16ビット
下限閾値:1 上限閾値:100 パルス相関閾値 60%
標準パルス設定 下限閾値:2 上限閾値:40 

表示は「リニア」「10ch単純移動平均」で、全て簡易遮蔽体内に試料と検出器を収めて測定しています。

Cs137std.jpg
次はCs137標準線源でのレスポンス(300cps超)です。
気になる分解能ですがエネルギー校正がそれなりに出来る様になったのでベクモニが出力するCSVファイルをスペクトル解析ソフトの定番? FitzPeak NaIに読み込んでみました。

話が前後しますが FitzPeak NaI については当ブログでもリンクしているbasamaさんの詳細な解説があり、それなしにはとても使用出来るレベルに達しませんでした。あらためて感謝します。

basama's blog    FitzPeaks NaIを用いたスペクトル分析

pF_Cs137std00.jpg  
FitzPeak NaI についてはあらためてまとめますが、上図は「Full Analysis」による662KeVのCs137の光電ピークのガウス関数フィッティング結果です。計算すると半値幅(FWHM)は10%強となり「あわゆけばCsIなら6%台」と目論んだ皮算用はあっけなく崩れてしまいました。
ただしドキュメントにもありますが宇都宮さんからも「磁気シールドは必須」とのコメントがありました。宇都宮さんは着々と準備を薦めておられるようですが、当方もパーマロイか珪素鋼板(最悪鉄パイプ)を装備して再チャレンジしたいと思います。
もともと軍用なのでCsI(Tl)結晶の採用は潮解性と機械的強度をNaIと比較してチョイスされた?のかもしれません。

CsI2x2_Shd_Soil2-04.jpg
今度は千葉市北部では珍しくもない2000Bq/kgの「路傍の土」の測定結果です。上記の結果から予想していましたが、かろうじて605KeV(Cs134)と662KeV(Cs137) のピークが分離していますが「くびれ」るほどではありません。(170cps超)

PF001.jpg  
同じくベクモニの吐くCSVファイルをFitzPeak NaI でフィッティングした結果です。
やはり半値幅は9~10%程度ですがCs134,137がきれいにフィッティングされていて面積比も妥当なものです。

やはりこのロシア製CsI検出器の圧倒的な計数率を活かすには
1)関数適合(GaussFitting)によるベクレル定量(シングルチャンネル計数法で使うとバチが当たりそう)
2)頑強なケースに収めてフィールド用高速サーベイ+簡易核種判別
のいずれかかもしれません。

話が飛ばし気味ですが、下の画像はCodeFukushimaの開発者である高野さんのご好意で同じCSVファイルを解析していただいたものです。(CodeFukushimaは低解像度NaIシンチレーター用のノン・インタラクティブなスペクトル解析、定量ソフトです)

CodeFukushima 解説及び操作マニュアル

仁木工芸HP
CsI_chiba_Soil.jpg

2KeV/chでスケールされた1024chのCSVファイルなら測定機器(検出器)を選ばない、ファイルを選択するだけで解析は自動なども特記すべき点ですが、1460KeVのカリウムのピークと1400KeVのCs134のサム・ピークが分離されているのには感動しました。
幸い高野さんにもロシア製検出器に関心を持っていただけたようなので、引き続きデーターを取ってみたいと思います。


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