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作ってまなぶ?放射線(ガンマ線)検出器 1インチCsIシンチとPMT(その1)

秋月10mm角シンチとフォトダイオード(浜ホトS6775)を使った実験を細々と続けて来ましたが、分解能、計数率とも頭打ちの状態です。(PCと接続して線量計として使用するなら現状でも十分な性能かもしれません)
もともとDokuさんの回路は5mm角のCsIシンチを想定したもので10mm角のシンチでスペクトル分析を行うにはベニクモというプリアンプが推奨されています。

同種のプリアンプを作り比べた結果では、部品点数が少なく再現性と性能において非常に優れたもので高望みをする方が悪いといえますが、ベニクモの部品の手配やらモタモタしているうちにリーディングエッジ株式会社から1インチ角のCsI結晶が発売されていて思わず購入してしまいました。
(10mm角のCsIシンチはマルツパーツ館の通販サイトでも販売されているようです)

SIMG3071.jpg
左上写真は10mm角と1インチ(25.4mm)角のCsIシンチの比較写真で、大きさ(体積)の違いがよく判ります。右上は到着したCsIシンチを速攻でバルカーテープでミイラ巻にしたものですが、潮解性や耐ノイズ的には金属ケースに収めたほうが良いかもしれません。

手前にあるPDは....と構想していたら1インチCsI結晶とPD(フォトダイオード)の組み合わせについてはチャッピーさんのブログに記事が出ていました。

チャッピーのブログ 1インチCsI検出器の性能

もともと1インチ結晶に5mm角の受光面のPDというのが無理筋ですが、それでも計数率、分解能ともそれなりなのはチャッピーさんがスキルの高い方で自作のプリアンプもフォトダイオードに逆バイアスを掛けた本格的なものだからだと思います。(以前の記事で取り上げた浜ホトの放射線検出モジュールは大型の受光素子=MPPCを使用しています)

スキルのない当方としてはプリアンプを製作するまでPD検出は一旦棚上げにしてPMT=光電子増倍管にトライすることにしました。

シンチレーターとPMTの作動原理
PMt.jpg「放射線計測基礎論」より引用)

ざっくり言えばγ線とシンチレーター結晶との相互作用による発光をフォトダイオードで捕まえるか、PMT(光電子増倍管)で捕まえるかの差なのですが、PMT(真空管)を動作させるには700~1200V程度の直流高圧電源が必要でその分PDと比べてハードルが高くなりますが、信号レベルから言うとPMTの方がはるかに扱いやすいように思えます。

下左写真が今回使用するロシア製軍用?PMTであるFEU-85で1φx1インチのNaI(Tl)結晶と一緒に球露屋さんから購入しましたが、海外通販をいとわない方ならebayやsovtubeなどからも入手可能だと思います。
11ダイノードのPMTでおもちゃではありませんが初心者にはこの位のクラスなら失敗して丸焼けにしてもあきらめがつきます。

せっかくのNaI(Tl)結晶+PMTですが動作確認をしてから速攻でバラしてしまいました。

SIMG3134.jpg SIMG3136.jpg

PMT(FEU-85)の受光面に光学グリスを塗りCsIシンチを取り付けビニールテープで固定してあります。(上写真左)
CsI結晶は1インチ角なので当然対角は√2倍でPMTの受光面からはみ出しミスマッチですが実験なのでよしとします。
ソケットには球露屋さんオリジナルのデバイダ抵抗(トータル60MegΩ)と高耐圧のデカップリングコンデンサーが取り付けられています。(上写真右)
ロシア製PMTについてはGSTube.comにFEU-85以外のスペック表もあるので参考になりますが当然キリル文字なので英数字の部分しか判りません(汗)

実験前に遮光と感電防止の為全体を収縮チューブ(φ38)でカバーしてケースにおさめます。測定条件ですがFEU-85への印加電圧は1000Vで高圧電源とプリアンプともBeeReserchのGS-2000Aを使用し、アナログ出力をEnermaxのUSB音源AP001のマイク端子を介してPCへ入力してます。(24bit/96kHzサンプリング)
この辺は秋月10mm角CsIシンチ+フォトダイオードの実験のときと同じです。

線源は簡易鉛遮蔽体(25mm)内に置き上記の設定でプローブのせてIntuneで信号を取り込んでみました。(下図)
Feu85_intune.jpg
P.D(フォトダイオード)とは桁違いのノイズフロアの低さと計数率の高さが一目瞭然です。
そのままセシウム137標準線源を使ってベクモニでデーターを取り込んでスペクトルを表示させてみました。(下図 以下すべてベクモニでの10ch単純移動平均表示、縦軸はリニアです)

CsI-1inch_FEU85_Cs.jpg
約15分測定後のスペクトルですが計数率は60cps超で、エネルギー分解能(半値幅-FWHM)はザックリ7%強とメーカースペックの6%台には及びませんが、普段しらベルで見慣れているEMF-211 のスペクトルと比較しても遜色ありません。無調整でこれだけの数値なら大いに期待がもてます。

次に350mlポリ容器に充填した塩化カリウム(360g)を測定してみました。
FEU85_KCL.jpg
この辺は10mm角CsI結晶との物量(体積)の差が現れていると思いますが「燃やしても惜しくない」と暴言を吐いたFEU-85ですが塩化カリウムがこれだけ検出できているので前言は撤回します。(計数率は20cps超)


γ線のスペクトル分析(核種ごとのBq量の定量)を行うためには光子エネルギーとPMT(光電子増倍管)の出力電流の比例関係が重要です。
ランタン用のマントルは手軽?に入手できるトリウム線源としてガイガーカウンターの動作チェックによく使用されていますが、エネルギーが既知の娘核種を多数含むのでエネルギー(横軸)校正には非常に便利です。(β、γ線源としてもそれなりに強烈ですがα核種であるため吸い込むと危険なので容器やチャック付きの袋に密閉して使用します)

下図はCAPTAIN STAGのM3枚組を2パック、ポリ容器に詰めてテープで密封した線源のスペクトルです(計数率は約270cps)
Feu85_thorium.jpg

カーソルを移動してそれぞれのピークのチャンネル数を読みだしてExcelで核種ごとのエネルギーと比較してみました。
Feu85_thorium_spect.jpg

500~800Kevの肝心な帯域で結構ずれていて典型的なS字特性を呈しているように見えます。
NaIとCsIでは波長帯域が異なりますが今回の問題とは関係ないようです。(NaIシンチに戻して測定しましたが直線性について変化はありません)FEU-85の特性なのか個体差なのかわかりませんが、これまでのテストの結果では素性は決して悪くなく「初心者ほど部品のせいにする法則」からもう少し粘って見ようと思います。

浜ホトの資料(最下段)などを見ながら愚考するとスペック表にあるデバイダ抵抗の推奨値より結構高めであるのが気になります。(現状でもサーベイメーターとして使用するなら問題ありませんが)

対策としては
1)デバイダ抵抗-分圧比の見直し→全体の抵抗値を下げテーパーデバイダに組み直す。
2)印加電圧を下げる(現状でも定格一杯?)

といったところですがGS-2000Aだと改造(分圧)しないと1000V以下にはなりません。直線性という点ではCW(コッククロフト-ウォルトン)回路が推奨されていますが、デバイダ抵抗のハンダ付けならともかく初心者には荷が重いので躊躇します。

コッククロフト回路の周波数特性と20段を試してみる TAKAさんの毎日が発見

なかなか一筋縄では行かないようです。(つづく)

〈参考資料〉

光電子増倍管 その基礎と応用(第3a版) 浜松ホトニクス
光電子増倍管と関連製品

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