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ガイガーカウンターの低線量時の動作について(5)

4回に渡って行なってきた低線量時でのガイガーカウンターの動作についての実験も一応今回で「締め」になります。

元々は自前のガイガーカウンターと行政が公表しているシンチレーションサーベイメーターの値との差やβ線の影響についてメールやメーリングリストでお寄せいただいた質問にお答えするために始めたものです。
1~3回の結果からGM管は0.1μSv/h以下の低線量域においても有意味なデーターが得られているという事は確認できたと思います。(そのためには「スイッチを押して出た数値を信じる」ことから放射線という現象そのものに目を向ける必要があることもわかりました)

前回と今回の実験は、そうした目的からすれば余録にあたる内容で通常「GM管の自己ノイズ」と評価されている「バックグラウンド」(SIM-05であれば表示値の0.06相当分)の解明の手がかりを得るためのものです。(繰り返しになるので詳細については前回の記事を参照して下さい)

実験に使用した旧ソビエト軍用のJupiter SIM-05については実機を貸し出していただいた「ガイガーカウンター製作&計測ワークショップ」の宇都宮泰さんの詳細な解説が公開されているので興味のある方は是非ご覧になってください。
SIM-05「ナターシア」もやってきた!

上記の解説にもありますがワイヤードロジックだけで線量当量率(μSv/h)を表示しようという実にエエカゲンというか、巧妙な設計には感動すら覚えます。これまでの雑駁な方法での実験で有意味なデーターが得られたとすればSIM-05に負う所大といえます。

今回の実験場所は館山市北条海岸(砂浜)で1m空間線量が0.016μSv/h、遮蔽体を設置した地表部分の線量が0.013μSv/hという前回の地下鉄大江戸線飯田橋駅ホーム(0.029μSv/h)の半分以下の環境です。(いずれもA2700での測定値)
生データーはGoogleDocにUpしてあります。

SIMG1769.jpgSIMG1765.jpg
設置場所の1m空間線量0.016μSv/h   設置場所地表部の空間線量 0.013μSv/h

SIMG1764.jpg SIMG1768.jpg
遮蔽体内のA2700(平均値 0.0054)  遮蔽体内のSIM-05(平均値 0.0729)

上の写真の遮蔽体にA2700をセットした表示値の平均は0.0054程度で、遮蔽により周囲に対して1/3程度減じているのは前回と同様の結果です。
A2700(shield)
平均 0.005428571
標準誤差 0.000470923
中央値 (メジアン) 0.006
最頻値 (モード) 0.004
標準偏差 0.002158041
範囲 0.007
最小 0.002
最大 0.009
合計 0.114
標本数 21

同じ遮蔽条件でSIM-05 について測定した結果は以下の通りです。
大深度空間における同一条件でのデーター(0.04475)と比較すると、空間線量の低下相当分以上には下がらないという、予想通りの結果となっています。

SIM-05(Shield)
平均 0.072970297
標準誤差 0.002919869
中央値 (メジアン) 0.07
最頻値 (モード) 0.06
標準偏差 0.02934432
範囲 0.15
最小 0.01
最大 0.16
合計 7.37
標本数 101

上記データーのヒストグラムは以下の通りです。
SIM-05tateyama.jpg

最後にこれまでのデーターをまとめて再度分散図からA2700、SIM-05の相関を求めてみました。
  A2700 SIM-05
BG(tateyama) 0.005429 0.07297
BG(SHIELD25mm) 0.0114 0.0815
BG(SHIELD) 0.023051 0.085726
BG 0.0526 0.1043
KCL 0.0767 0.1387
SOIL-1 0.0807 0.133
SOIL-2 0.1079 0.167
SOIL-3 0.155133 0.198933
SOIL-4 0.305067 0.3372

A2700vsSIM-05(all).jpg

着色した部分が「ベースノイズ?」と考えられている領域ですが、0.005μSv/hという50mm以上の鉛遮蔽体ならともかく通常の方法で再現可能な超低線量域においても限りなくSIM-05の表示値は0.066(Y切片)に限りなく近づくことはありえても、下回るには別の理由が必要だと考えられます。
今回と前回(地下鉄飯田橋駅における大深度環境)との条件の差異を大地そのものによる遮蔽効果と考えれば、ガイガーミュラー管で観察されるベースノイズ?の少なくとも1/3程度は宇宙線の影響と考えることができる思います。後知恵ですが大深度空間で遮蔽体に収まる小型の線源を用いて近似曲線の傾きを比較する、カウント数の時間分布を観察するなどの方法により、さらに確度の高い結論が得られるものと考えます。


追記:前回の勉強会でSOEKSをお持ちの方からβ線についてご質問がありましたので簡単に。

SIMG1619.jpg

上の写真は日立アロカのGM管サーベイメーターで2500cpm以上を表示するウランガラス(β線源)に線量計を近づけた状態ですが、γ線の空間線量0.045μSv/hに対して0.02μSv/h程度の増分しか観察されません。
SIM-05 の表示値も(0.11-0.066)/0.8821≒0.05 でβ線は全くといってよいほど検知していない事が判ります。
宇都宮さんの資料にもありますが、SIM-05は鉛シールドでβ線をカットしていますが、プラスチックケースだけでも相当の遮蔽効果があるようです。
従ってガイガーカウンター全般がβ線を拾うわけではなく「機種による」ということで、実測して確認する必要があると思います。


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