子どもを放射能からまもる会in千葉
終わりの見えない福島の原発事故。情報を集め、調べ、必要な声を上げて行こう

ガイガーカウンターの低線量時の動作について(4)

自然放射能と呼ばれるものには人体内にもあるカリウムや大気中のラドン、ウラン、トリウムなど自然核種によるものと宇宙線によるものがあります。(東京-ニューヨーク間の1回の飛行の被ばく量がなんたらという話は宇宙線を指すようです)

だいぶ以前の記事になりますが、慈恵医大箕輪助教の講演で「大江戸線のような地下で鉛箱に入れた時に示す値がその線量計の「ゼロ点」というお話がありました。
今回はこれまで見てきたGM管のカウント数に現れる「下駄」について、その宇宙線の影響を愚直に確認してみようとするものです。今回の実験はある種の「愚行」であることは否定しませんが決して荒唐無稽なたわごとでない事はご理解下さい。

高エネルギー加速器研究機構 宇宙線を見る


(1)鉛粒遮蔽体でのバックグラウンド測定
まず、効率よく遮蔽可能で人力で運搬可能な遮蔽体(鉛箱)について検討しました。

SIMG1653.jpgSIMG1651.jpg

上の写真はタッパウエアに鉛粒を充填しその中にSIM-05の入るケースを埋め込んで上から同じく鉛粒を充填したVHSビデオのケースで蓋をするという遮蔽体を試作したものです。
蓋にはアクリルケースを埋め込んでLCDの数値が確認できるようにしてありますが、それ以外の鉛粒の層は約25mmです。(重量約15kg 鉛層の平均厚さ25mm)埋め込むケースは「浮き上がり」を防ぐ為にタッパウエアの底とボルトで固定してあります)

空間線量が0.053~0.056μSv/hの室内で遮蔽体内でのバックグラウンドをA2700とSIM-05について計測した結果は以下のとおりです。

鉛粒遮蔽体(25mm)によるバックグラウンド測定
SIM-05(棺桶型遮蔽体) A2700(棺桶型遮蔽体)
平均 0.0815 0.0114
標準誤差 0.003688622 0.000622564
中央値 0.08 0.0105
最頻値 0.08 0.009
標準偏差 0.028571943 0.003409925
標本数 60 30

鉛粒の場合無垢材に対して遮蔽効果を減ずる必要があるそうですがA2700 の測定値からγ線(Cs137)について1/5に低減していることから無垢材の15,6mm程度に相当するのではないかと考えています。

以下の表は以前のテストで使用した鉛シートと水バッグによる簡易遮蔽体での測定結果です。
簡易遮蔽体によるバックグラウンド測定
  SIM-05遮蔽BG A2700遮蔽BG
平均 0.085725806 0.023050847
標準誤差 0.002568683 0.000528235
中央値 0.08 0.023
最頻値 0.08 0.025
標準偏差 0.028603638 0.004057448
標本数 124 59

この位のレベルになると検出器自体の形状、特性(指向性)と遮蔽の関係が効いてくるので直接比較が可能か悩みます。A2700については上下方向、特に下からの感度が高く側面はやや低下する傾向がありますが、(たぶんシンチレーターの形状と実装上の問題)宇都宮さんによると逆にSIM-05(SBM-20)は電極構造から水平方向の比べて上下方向は計数率が低下する傾向があるそうです。(いずれの場合も観察用の「窓」を抜かなければならないというのが遮蔽上の弱点です。)

下のグラフはこれまでの結果に今回の遮蔽体でのBG線量をデーターを追加して近似直線を引き直したものです。A2700の結果を比較するとバックグラウンドは簡易遮蔽時の1/2に減じていますが、SIM-05は飽和傾向で、実験的にはさらに物量を投入しないとバックグラウンドの低減化は難しいのですが、可搬性という点では非現実的になってしまいます。

A2700vsSIM05_2.jpg

(2)大深度空間でのバックグラウンド測定(地下鉄大江戸線飯田橋駅)
大深度地下空間の説明は省略しますが国交省のサイトに解説がありますので興味のある方は参照して下さい。
国交省 新たな都市づくり空間 大深度地下

飯田橋駅ホームは地下49メートルですが東京都土木技術センター(そもそも地下50mのデーターがありませんが)などのサイトを見ると飯田橋付近は礫、砂、シルト(粘土)などで地下からの(火成岩などによる)放射は少ないと考えられます。(詳しい方のフォローを期待します。)

iidabashi_ST.jpg SIMG1678.jpg 
上図は国交省HPより      JR飯田橋駅との連絡エスカレーター  

SIMG1674.jpg SIMG1669.jpg
ジプロックに鉛粒を詰めた遮蔽体(厚さ15mm程度) 表示値0.01

最終的に使用した鉛箱(遮蔽体)はプラケースに2mm厚の鉛シートを貼付け、ジプロックに鉛粒を充填(平均厚み15mm)でSIM-05 を覆うというアバウトなのもですが、それでも重量は10kg程度あり0.05μSv/hの室内でA2700で使用した場合バックグラウンド線量を1/3程度に低減する能力があります。

以下は飯田橋駅ホームのアルミ製ベンチ(厚さ30mmの無垢材!)上に設置した遮蔽体内のSIM-05の表示値を120回測定した結果です。

飯田橋駅-遮蔽体内バックグラウンド測定
SIM-05(遮蔽体)
平均 0.04475
標準誤差 0.00193726
中央値 0.04
最頻値 0.04
標準偏差 0.02122162
分散 0.000450357
尖度 -0.246534936
歪度 0.370582502
標本数 120
信頼区間(95.0%) 0.003835968

この結果の解釈は難しいのですが、これまでの実測値から求めた上記の回帰式
y=0.8848x+0.0659

からSIM-05の表示値が0.0659以下ではA2700の表示する線量率がゼロまたはマイナスになってしまう事からも、測定環境での空間線量の低下分を考慮しても0.0659-0.04475≒0.02は別の理由によって減少したと考えてよいだろうと思います。

ホーム周辺の空間線量はアルミベンチ上(床上40cm)で0.029、同高さでの中空で0.042程度でアルミベンチに一定の遮蔽効果?があるように見えます。当初懸念しましたがA2700、SIM-05とも車両の停車、通過と同期した数値の変動は見受けられませんでした。

SIMG1665.jpg SIMG1667.jpg
アルミベンチ上(平均0.029μSv/h)車両の停車、通過時の線量変化を確認

以下はSIM-05の表示値(18秒×120回)のヒストグラムです。

SIM-05.jpg

この間宇都宮さんとメールでやり取りをさせていただきましたが、SIM-05は18秒間隔のカウント数を「そのまま」表示しているのですが、こうしたカウント数が非常に少ない測定環境では「目盛り」が粗すぎて、これ以上測定回数(時間)を伸ばしてもの精度の向上は望めないと思われます。
「生の現象」を観測するには人間が数値を読む方法では限界があり、内部改造が必要ですが、カウンター出力を外部に取り出しPCやデーターロガーで記録、解析する必要があり今後検討していただけるとのことです。

人為的にバックグラウンド線量をさら下げるには物量的に限界があるので、南房総市の海岸などバックグラウンド線量が元々低い地域に装置ごと移動して屋外でのデーターと大深度空間の結果を比較してみたいと考えています。
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