子どもを放射能からまもる会in千葉
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ガイガーカウンターの低線量時の動作について(1)

以前の記事でガイガーカウンターのデーター取りについて協力をお願いした所、検見川町の山口隆史さんと「ガイガーカウンター製作ワークショップ」の宇都宮泰さんからそれぞれウクライナ製のKiparis(キパリス)と旧ソ連製のJupiter SIM-05の貸出について申し出がありました。
お二人にはこの場を借りて改めてお礼いたします。
取り敢えず宇都宮さんからJupiter SIM-05を送って頂きましたので、装置の紹介と結果について述べます。

(1)Jupiter SIM-05について
宇都宮さんの解説によると旧ソビエト軍用のJupiter SIM-05はGM管(SBM-20)の2連装で、計数率(感度)が高く、最近の機種のようにマイコンでの平均化処理などは行なっていません。(積分コンデンサーの電圧をマルチメーター(テスター)で表示していると考えて良いと思います)(この方式はPripyat(プリピャチ)のものでSIM-05は単純に検出したγ線を1パルスとして個数をカウントしているだけのようです。 2012/01/06 修正加筆)

従ってマイコンの平均化ルーチンの出来不出来などの影響を考慮せず生の現象をAs Isでみることができます。GM管(SBM20)は鉛シールドされているので、β線は遮蔽されγ線のみの計測となります。

SIMG1570.jpg
(製造後20年以上経過しているとの事ですが今回の輸送が原因?なのかLCDの上位から2桁目のセグメントが表示しなくなってしまったようです。)

装置そのものは電源スィッチと「時定数」、通常使用の20秒と高線量モードの2.5秒の切り替えスイッチ、警報レベルのしきい値を操作するダイアルしかついていません。計測値は20秒ごと(それほど厳密なものではないらしい)に更新され線量当量[μSv/h]で表示されますが、前記の様に複雑な処理はしていないと思われます。同じSBM-20 2連のPripyat(プリピャチ) やKiparis(キパリス)に比較すると軍用として機能を削ぎ落した装置ですがデザインは当時としては斬新なものだと思います。

(2)基礎データーの収集
宇都宮さんのアドバイスもありましたが、いきないフィールドに持ち出す前に基礎的なデーターを取ることにしました。

方法としては
まず、バックグラウンドを測定した後、上の写真のようにKCL(塩化カリウム)や花見川区北部や自宅で採取した土壌(乾土)をタッパウエアに詰めその上にSIM-05を「直置き」し表示値を記録します。(比較のため会で常用しているClearPulse A2700についても同様に行います)

計測時間(回数)SIM-05については20秒×100回の2000秒(約34分)A2700については30回(約6分)としました。
用意した試料は4種類(KCL+土壌4種)で1番目の土壌はKCLと見かけの線量当量はほぼ同一ですが核種がセシウム(134+137)とK40(1460kevのピークと散乱線)という点が異なります。

(3)測定結果
データーの一覧をGoogleDocにアップロードしましたので参照して下さい。

SIM-05基礎データー(1)

下のグラフはSIM-05の20秒ごとの測定値をそのままプロットしたものです。データーは平均化処理はしていませんので重なりあって一見メチャクチャに見えます。



下のグラフはKCL(塩化カリウム)のデーターを数値の出現頻度で表示した(ヒストグラム)ものですが、一見デタラメに見える数値がある中心値をもった頻度分布にあることが判ります。


さらに土壌試料-3について150回の測定を行った結果が以下のグラフです。


SIM-05の場合、前記の様にマイコンによる平均化などの処理をしていない生データーなので、サンプル数が多くなるほど単純に正規分布に近づくものと推定しています。(放射性物質の壊変と放射線の放出が確率的現象であるため)

下表は各試料を200回(SIM-05)と30回(A2700)測定した平均値の比較です。
各試料の測定値(平均) [μSv/h]
  A2700 SIM-05
BG 0.0526 0.1043
KCL 0.0767 0.1387
SOIL-1 0.0807 0.133
SOIL-2 0.1079 0.167
SOIL-3 0.155133 0.198933
SOIL-4 0.305067 0.3372


これまでの「まもる会」のガイガーミーティングなどで見てきたように「0.1μSv/h以下で差が大きく0.2~0.3μSv/hの線量で差が縮小」という傾向が見てとれます。
このデーターをもとにExcelで回帰分析を行った結果が以下のグラフです。

Jupiter-A2700.jpg

A2700とSIM-05の「絶対値がどちらが正しいか」は一旦置いて、A2700を「正」として見ると(どちらを基準にしても同じ事ですが)強い相関がある事がわかります。
特に「ガイガーは高線量向き」と言われ、かく言う私も無根拠に信じていたのですが、SIM-05のデーターを見るかぎり0.05μSv/hというバックグラウンドレベル付近でも直線性に優れているのには(しかも20年以上前の設計)驚嘆します。

以前、ガイガーカウンターをお持ちの女性から「TERRAの場合表示値に0.7を掛けるとシンチと同様の値になる」という個人の方が実測値からもとめたブログの記事を教えていただき、その真偽について質問されましたが(現在その記事はリンク切れになっているようです)それほど簡単ではないようです。特に前説でも書きましたがマイコンでの平均化処理についてはユーザーにはブラックボックスなので機種ごとに実測値から推定する以外にないと思います。

前説が長くなったのでこれ以外のデーターと今後のまとめについては次回にまわします。
(by otto)


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