子どもを放射能からまもる会in千葉
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千葉市の使用している「食品検査機」の信頼性について

12月千葉市議会の環境経済委員会での山口さんの陳情(17号)に対する市の説明の中で

これまでに、放射線が検出された検体をゲルマニウム半導体検出器により検証したところ、放射性セシウムに換算し公表している推計値(67.8ベクレル/キ ログラム)を超えるものはなかった。また、検出されなかった検体についても、同様の検査で放射性物質は検出されなかった。

とあり

12月2日千葉市議会環境経済委員会陳情審議内容メモ
の質疑内容を見ると

Q:現在の市の検査器で1cpsが5検体出たが、ゲルマニウム検査をした結果についてはどうだったか。
A:5検体中2検体は不検出,3検体は60ベクレル、37ベクレル、10ベクレルであった。

Q:スクリーニングのための機器の導入はしない。現状の精度が67.8ベクレルの検査は続けることについて
A:新しい基準が出るまでこのままで、できる限りのことをしていく。


といった具体的な数値を上げていたので「検出下限」ついて再度検討します。

(1)67.8Bqという数値について
前日の記事でもお分かりの様に「簡易放射能測定器」と一言で言ってもスペクトル解析(核種の判別)可能な装置と千葉市の様なカウント数(cps)しか扱えない装置では雲泥の差です。

以前の記事 ベクレルモニターLB200を使用している市民測定室
でふれましたが核種の判別が出来ないLB200のような放射能測定器の表示は、食物に含まれるK40(カリウム40)のような自然核種とCs137,134のような人工核種をすべてCs137と仮定して換算したものです。

カリウムは食品によって含まれる量(比率)が異なり、個体差も大きいので「ゲルマニウム半導体検出器」の結果と比較するならカリウム40も定量して比較しないと全く意味がありません。(分析機関によってはK40の定量は「別料金」になるようなのでデーターを取っていなければ仕方ありません)

つまりどういう食品を測って実際のセシウム量とカリウムの比率がどうだったのかわからなければ「1cpsがセシウム何ベクレルだった」などといってもデーターとして意味がありません。

5検体中2検体は不検出,3検体は60ベクレル、37ベクレル、10ベクレル」はカリウム40込みの値か単に空間線量の変動を誤検出しただけかもしれません。そういう意味では「安全側」の様に見えますが、本当にそうでしょうか。

上記の結果から言えるのは
(ゲルマニウム半導体検出器の検出限界を1Bq/kg程度と仮定)
市場流通食品のうち有意で検出された食品の汚染度の平均は67.8Bq/kg以下と推定される」というところまでで、千葉市の使用している装置の検出限界の証明にはなっていないと思いますが、詳しい方のフォローを期待します。
無理くりで「検出限界」を求めると「不検出」ということは期待値である67.8Bq/kgに対し100%の誤差を含むので「検出限界=誤差の3倍」≒200Bq/kgとなりますが、これでいいんでしょうか?


(2)検出精度の確認方法
理屈としては簡単です。

ベクレル量が既知か他の方法(ゲルマ)で定量した標準試料を千葉市の食品検査器測定すれば良い」のです。

別に67.8Bq/kgちょうどである必要はなく100Bq/kg≒1.47cpsでも換算できればよく、理論値?に対しての実測値の平均と標準偏差を求めればよいので、千葉市のやっている「食品検査器で定量したものをゲルマにかける」のは真逆です。(さらに繰り返し精度→相対誤差を求めれば完璧です)

(本来この程度の検出性の確認は民間会社なら装置の本格稼働の前に済ましてしまうものですが、行政にはうかがい知れない独自の文化(価値観)があるのかもしれません。)

計数率の校正のためには非密封線源が必要で、まともに行けば放射線管理区域でないと使用できませんが、塩化カリウム(16Bq/g)溶液なら法的規制なく任意の濃度の標準試料として利用できます。

PRA およびFitzPeaks NaI を用いたγスペクトル分析法

文部科学省 NaI(Tl)スペクトロメーター機器分析法
 において

SCIMG1340.jpg 7.5 KCl試薬による光電ピーク計数効率の求め方  
種々の事情で規格化された容器を用いられない場合,しかも適当な放射能標準溶液を入手出来ない時は,市販のKCl試薬を用いて次のような手順で計数効率の決定を行なっても一応実用となる結果が得られる。  
7.5.1 よく乾燥した市販KCl試薬100gを試料容器に入れ,これに水を加え規定容量とする。 よく横枠して完全に溶解したことを確かめる。



とされています。

(上の写真はネット通販で購入した塩化カリウムです。劇薬扱いではありませんがいろいろあるようで身分証明書の提示を求められました。)

食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正について(PDF:321KB)
においても

定期的に濃度既知の試料を測定し、真度が低下していないことを確認する

というのを年1回の装置自体の校正と別に「日常点検」として規定しています。(当たり前の話ですが)

あと、「どうしてもセシウムで」というなら当ブログで紹介したこてはし台調整池や道路の側溝などの土壌を採取すれば数千ベクレル/kg以上の「線源」が容易に入手できます。
千葉市当局が「除染の必要なし」と太鼓判を押しているので所持し非密封線源として利用しても法的な問題は一切ないはずです(よね?)


(3)信頼性を高めるには(やや手遅れですが)

食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正について(PDF:321KB)
食品中の放射性セシウムスクリーニング法のQ&Aについて(PDF:179KB

上記の厚労省資料の「NaI(Tl)シンチレーションサーベイメータによる方法」において

4)測定条件 試料容器を含めて出来る限り、計数効率を算出した条件と試料の測定条
件を揃えること。特に検出器近くの条件(距離、材質)には注意を払うこと。サー
ベイメータによる測定結果は、試料と検出器のジオメトリ(空間的位置関係)の影
響を受けるため、計数効率決定、バックグラウンド評価、測定は、可能な限り同一
の容器を用い、検出器と容器の相対位置を固定して行う必要がある。


というくだりがあり、要は再現性よく位置決めができるリジットな(剛性を有した)支持体を想定しています。(たぶん、千葉市の食品検査器は測定中に机を揺さぶると面白いように「針が振れる」のではないかと推測しています。)

遮蔽については「2 NaI(Tl) シンチレーションスペクトロメータによる方法」に準ずるとして

3)バックグラウンド(BG)計数値:測定の下限値は、計数効率、計数時間の他、BG
の値に依存する。後述するBG 条件を下回る測定環境を整えることが必須である。
つまり、鉛等により測定試料、検出器を遮蔽し、環境からの影響の小さい測定条件
を選定することが重要である。測定の下限値を満足できるBG 条件とならない場合
は、スクリーニング法としては保証されない。


と従来の「緊急マニュアル」より踏み込んでいます。つまりバックグラウンドを下げなければ検出下限は下がらないから「人が歩いただけで針が振れる」2mm遮蔽では気休め程度と知るべきで

最悪の条件で最良のデーターをとるのはプロフェショナルにのみ許された行為であって、素人が真似をして良いものではありません。


左下図は文部科学省 「NaI(Tl)スペクトロメーター機器分析法」にある標準的な遮蔽体の構造です。

マリネリ容器を使用すれば液体はもとより、魚、肉、野菜のすり身の様な半固形物も容易に充填できますし、試料密度によって液面高さが変化してもシンチレーターとの幾何的な関係は変化しません。
(シンチレーターが試料によって汚染される可能性も低くなります)

遮蔽は容器とシンチレーターの「接点」を中心とした範囲を重点的に行えばよくスクリーニングなら15mm程度でも十分と思われますが、左下図の通りに作る必要はなく、右下図の様にもっと簡単に15mm厚の鉛の直方体の底部にシンチレーターが通る穴さえ明ければ良いのです。(概算費用5万円程度)

遮蔽体 syahei.png


すでに簡易的な遮蔽体なら商品化されているという情報をいただきました。
テクノAP TSB-15 小型放射能測定キット 鉛遮へい15mm厚と架台

TS15B.jpg

「新しい基準が出るまでこのままで、できる限りのことをしていく」と明言した以上それなりの自助努力は行なっていただきたいものです。


念のためベルトールドジャパン様をはじめLB200を使用している各地 の自治体や市民測定室の皆さんの名誉のために付け加えますが、LB200は15mmの遮蔽体を持ち、前記の条件を理解して使用すれば統計誤差のでる数値を 表示します。100Bq/kg程度のスクリーニングには十分使用可能な性能を持っているいう点はご理解ください。

(by otto)


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