子どもを放射能からまもる会in千葉
終わりの見えない福島の原発事故。情報を集め、調べ、必要な声を上げて行こう

線量計のエネルギー補償について(MrGammaとRadiの比較)

(1)Horiba Radi PA-1000とA2700の「エネルギー補償」のよる違いについて

千葉市以外の多くの自治体で採用されているHoriba Radi PA-1000 ClearPulse A2700 ですがメーリングリストで「両者の違いは『エネルギー補償』の有無と聞いているが測定にどの程度影響するのか?」というご質問がありました。メールでは説明しきれない点がありますのでついでにまとめておきます。


現在の東日本では主に線量計はセシウム137(Cs137)、セシウム134(Cs134)の2つの出すガンマ線を測定しています。(ストロンチウム90(Sr90)はベータ核種なのでMrGammaでもRadiでも測れません)
「ベクレルとシーベルト」でGoogle検索するとたくさん出るので省略しますが同じ1ベクレルの134、137でもγ線のエネルギーが違い、さらにややこしいのはμSv/h(マイクロシーベルト)は単純な放射線の強さではなく人体への影響に換算した数値です。

DX300.jpgCP100.jpg
ところで、写真を見るとわかりますが「はかるくんDX300」と堀場のRadiは同じものです。さらに「はかるくんCP-100」も実はMrGammaと同じもので、「かるくんロゴ」がつくと文科省ブランドになります。(多くの自治体が2機種を選択するのはそうした事情もあるのかもしれません)

そこで2機種を比較するにあたりメーカーが公開していない技術情報について貴重な資料がありましたので紹介します(上の写真や下のグラフは同資料から引用したものです。)

isotopeNews 教育用簡易放射線測定器「はかるくん」のエネルギー特性

下のグラフは上の表はエネルギー(グラフの横軸 単位はKev)が124(Co57)、340(Ba133)、660(Cs137)、1250(Co60)の4種類の核種のレスポンスをCs137で規準化して比較したものです。
DX300(RadiPA-1000)は600KeV以下の低エネルギー帯域で大きく盛り上がっていますがCP-100(MrGamma)は全帯域において0.8~1.0とほぼフラットです。要するにこれが「エネルギー補償」のご利益です。

hakarukun.jpg

下のグラフはpolimaster社のCsIシンチレーション線量計PM1703MAのエネルギー特性を示したもので、いつも参照しているみかげさんの放射線・放射線測定器のメモから拝借してきたものです。これを見ると機種に関わらずCsIシンチの裸特性というのは同じようなものなのかもしれません。

PM1703MA.jpg

では現在の関東(千葉県)で放射線測定をする場合どのくらい影響があるのかというと「あまりない」と思います。(話が長いわりに結論は簡単です)

現在の主要な核種はCs134と137に着目するとそれぞれの(放出率の大きい)主要なエネルギー[KeV]は
Cs134 605、796
Cs137 662
でセシウム137(662KeV)で校正されているとすれば、大勢に影響ない(が厳密に言えば違う)といった範囲ではないかと思います。今後半減期2年のCs134のCs134の影響が減じていけばほぼ同等になると思われますが、Radi PA-1000(エネルギー補償なし)は600KeV以下の低エネルギー側で感度が高いので影響が全くないわけではありません
行政の使っている日立アロカのTCS-172Bという45万の線量計と比べるとどちらもよく一致しますがRadiはやや数値が高め、MrGammaはやや低めという印象を持っています。

下図はBNC社のハンディスペクトロメーターSAM940を個人で購入されたひげまるさんのブログ
からSAM-940 で「やさしお」3袋(540g)を測定したデーターを引用させていただきました。

yasasio_compton_scattering_vs_bg.png
1460KeVのK40のピーク(赤)以外にもコンプトン散乱による低エネルギー側でのバックグラウンドの増分(青)が乗っているのがよく判ります。
普通の線量計ではSAM940の様に核種を判別してピーク値をカウントしているわけでなく、カウントしたγ線をセシウム137の換算係数を用いてμSv/h(線量当量)に変換しているので、低エネルギー側でのバックグラウンドの増分に対する感度が違う事が表示値の違いとなって現れるのかもしれません。

TA100A27P100.jpg
上のグラフは同じくみかげさんの放射線・放射線測定器のメモから拝借してきたもので、Radi PA-1000とA2700(MrGamma)とシリコン半導体検出器を使用したテクノAPのTA100を同一環境に置き、その時の表示値の変動を表示したものです。(オリジナルのページでは表示する項目を選んでインタラクティブにグラフが表示されますので是非ご覧になって下さい。「国民生活センター」の調査で散々だったDoseRAE2が大健闘していますが、個体差が大きいのかもしれません。またRD1503 のようなガイガーカウンターとの傾向の違いもよく判ります。)

Radi PA-1000はA2700(MrGamma)より表示値がやや高め(0.01~0.02)ですが傾向としてはよく一致しています。TA-100はCdTe半導体センサーを用いた線量計で800[cpm/(μSv/h)]とDOSEeよりはるかに高感度ですが、固有の問題があるようで、低線量域での表示値の暴れはNHEと共通しています。

あとRadiの性能について気になる方は以下の記事を参照してみてください。

ハンディ測定器(PA-1000)の測定値は信頼できるのか?(1)

(2)その他の自治体について(前回記事の追記)
前の記事で各自治体の動向を調べていくと興味深い点がいくつかありました。
鎌ケ谷市では線量計の貸出はしていませんが職員の方がClearPulse社のA2700を使用して子どもたちの通学路について詳細なデーターを取りマップを作成しています。(下の静止画像をクリックするとマップを表示します)
鎌ケ谷市通学路放射線量マップ(改訂)について

kamagayamap.jpg
いつも自治体の対応を批判することが多いのですがこうした市民にわかりやすく情報を伝える試みは素晴らしいと思いますし発案し測定した市職員の方には敬意を表します。(「ITに強い市長」がいて図体が大きくても職員のリテラシーと能力は別物というのはよくわかりました。)

あと市川市でも線量計の貸出を開始するという情報をいただきましたので詳細が分かり次第追記します。

(by otto)
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