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Horiba Radi PA-1000 で食品検査?

堀場製作所がRadi PA-1000を使用した「食品測定キット」を発売して、「人柱」になる人も出てきたので少し情報を集めてみました。「キット」といっても線量計本体以外は試料を入れるボウルと、スタンドだけという簡単なものです。

堀場製作所HP 食品測定キット PA-K カタログ


Horiba_01.jpg Horiba.jpg


専用容器(ボウル)は検出部(CsI(Tl)を試料の中に没入させる「マリネリ型」に近いもので、容器に試料を詰めスタンドに載せればセンサーとの位置関係(測定ジオメトリ)が機械的に決まるので、1検体ごとに位置決めしなくてはならない上に位置精度が確認できない千葉市の給食スクリーニング検査よりはるかに確実で合理的なものです。

marine.png CIMG1037.jpg 

早速真似をしてMrGammaを立てて「やさしお」に当ててみましたが特に感度的に有利になるわけでなく、「数値が読みやすい」のと、あくまで「検出部を試料に突っ込んでγ線を拾う」という点にメリットがあるのだと思いました。
たぶんボウル底部の「くぼみ」は実験により最適解を求めたものでHoribaが公開している土壌のデーターから推定した換算係数(10000[(Bq/kg)/(uSv/h)])は参考になりますが、別の容器を使用して同じ結果が得られる保証はありません。

測定方法は
ボウルに水を入れバックグラウンドを測定(5分5回の平均)
試料を入れたボウルを入れ同様に5分5回の平均値を求める
バックグラウンドと測定値の差を「正味値」として換算係数によりベクレル量に換算

という流れ自体は厚労省「緊急検査マニュワル」に準じたものです。

肝心の測定精度ですが

検体1L の検出下限(Bq/kg)
バックグラウンド0.1μSv/h0.02μSv/h
土壌10075
玄米200100

「えっ、26,000円(Radi本体込みだと約15万)かけてその程度?」と思われる方もいるかもしれませんが、100万もかけて2Lの試料を検査して「あり、なし」しかわからない(統計誤差のでない)検査器とは違い、それなりに定量化(有意な標準偏差や誤差が得られる)しているという点は評価出来ると思います。(コンクリート構造物内でのバックグラウンドとして0.02μSv/hを実現するのはそれほど難しいわけではありませんが、ツボを押さえた遮蔽=別途(多少の)費用が必要です。)

つまり、なにかアダプター(ガジェット)を追加したらベクレル量が直読できるようになるという話ではありません。(そもそもRadiには外部入出力I/Fがありません)

日本アイソトープ協会が公開している換算係数は液体、粉体など密度、性状に関係なく一律ですが、このKITではゲルマニウム半導体検査器でのバックデーターを元に液体(水)、玄米の様な粒体、土壌をわけて換算係数を提供しています。今後換算係数の項目を増やしていく、また半減期の短いCs134が減じて行くのに従って換算係数を更新していくサポートをネット上で行なうそうです。(ただしHoribaの専用HPでデーターをダウンロードするにはユーザーパスワードが必要)

つまり、このキットの値段は「物の値段」というより「情報」の値段含みだと考えた方が良いと思います。

では、消費者サイドでこのキットを買うメリットがあるかというと「あまりない」と思います。(あくまでもスクリーニング用なので、このKITで得られた数値を元にNaIスペクトロメーターやゲルマニウム検査を行うかは利用者の判断によります。)
ただし生産者サイド、特に玄米、土壌を測れるというのは意味があると思います。農地の場合、肥料由来の自然核種の影響があり細かいことを言えば難しいのですが、土壌から作物への移行率を考えたら数ベクレル単位の精度を求めて土壌のゲルマニウム検査を行うのが合理的かは議論があると思います。(個人的には精度が劣っても「水田一枚一枚」の検体数を増やす方が意味があると考えます。)

あと「家庭菜園の愛好者が友人と共同で購入する」のもありかと思いますが、これで食品の測定をするというより、私たちが考えている環境調査(測定)としての土壌調査なら100Bq/kg単位の精度でも十分なので、(Radiをお持ちの方も多い事もあり)もう少し調べててみようと思います。

参考

堀場製作所製 放射能簡易測定キットについて
Radi分析キット解析_v1.0.xlsx
文科省「NaI(Tl)シンチレーションスペクトロメータ―機器分析法」


千葉市の流通食品の放射性物質検査について(その1)
千葉市が使用している食品検査装置について

(by otto)

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