子どもを放射能からまもる会in千葉
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千葉市の食品検査機について(2)

(2)すこしめんどうな?放射線と核種のはなし

本来はこうした「基本」から入るのが筋ですが、それについては専門家の解説書が沢山ありますし、ブログで書き始めるといつまでたっても本題にたどり着かないので後回しにしました。不足している分は是非他の資料にあたってください。

housyasenn.jpghousyasennJ.jpg


上左の図は放射線について一般向けに解説した資料にある、放射性物質と放射線の関係を「ランプと光」に例えたものです。ところが放射線は単一の線源から均一な放射があるわけではなく素人目にもマズイと思うので右上のヘタな絵を作りました。

放射線は色とりどりのネオンがバラバラのタイミングで点滅していているようなもので、青い光や赤い光、緑の光の束だと考えたほうが良いと思います。(あくまで「たとえ」ですが。)

光の場合は波長ですが放射線だとI-131とかCs-134とか呼んでいる核種はエネルギー(eV)が違います。

下図は 文科省「NaI(Tl)シンチレーションスペクトロメータ―機器分析法」 からの引用で横軸がエネルギー縦軸が計数値(カウント数)です。
k40spec.jpg

縦軸の「計数値(率)」は前の記事でいうと検出器の感度に関係します。例えば同じ1μSv/hの空間(放射線の束)の中に検出器をおいた時、どれだけγ線をカウントできるかという目安として[cpm/μSv/h]という単位がありますが、数値が大きい方が感度が良いことになります。

横軸のエネルギーは検出器の「エネルギー(チャンネル)分解能」に関係し、検出器の材料(素子)に大きく依存します。CsI→NaI→LaBr3の順で、Ge半導体検出器が一番分解能が良いのですが、分解能のよい素子は感度が低いという傾向があります。(測定に時間がかかる)
上図を見るとわかりますがガンマ線を科学的な意味で正確に測定するには核種ごとのピークを同定して評価しなければなりません。

空間線量計の校正方法については以前紹介したポケットガイガーのサイトの記事にもありますが、日本では放医研内にある医用原子力技術研究振興財団で行なっているようです。

両者ともコバルト60を校正用の線源としていますが、要は可搬型の線量計は60万だろうが10万だろうが核種の判別をしているわけではなく標準線源で校正した線量当量を表示しているという意味では全部「それなり」です。
(LaBr3シンチレーションではスペクトルで評価するものがありますがポータブルでも300万円くらいするそうです。)

地上1mの空間線量を測っているうちは「誤差範囲」ですが、食品にはカリウム(k-40)が多少にかかわらず含まれるので微量のセシウム137、134を正確に検出しようとすると(現在はI-131は無視できますが)、核種の判別をしないと上の図で中央に見えるK-40の影響で検出限界は頭打ちになります。
(簡易装置の場合はK-40も含めて「セシウム量として安全側で判定」と割り切って使うという考え方もあります)

前記事で紹介した柏市や大地を守る会の食品検査機は
NaI(Tl)シンチレーション+核種判別を行なっている点が千葉市の簡易装置と異なります。


千葉市の装置はあくまでも「緊急時の簡易装置」で67Bq/kgが検出限界ですが今後食品の暫定基準値が改定され基準値が引き下げられた場合には使い物にならなくなる可能性があります。
周辺の自治体では既に機器の入札に入ったところもありますが、千葉市の場合「誰の」とは言いませんが間違った状況判断に引きづられて完全に出遅れたと思います…いう話はおいて

柏市の放射能測定スペース「ベクミル」が10月11日にオープンしますが、設置してある測定器のうち核種の判別ができるのがLB2045の方です。千葉市が使用している装置はLB200と同じ核種の判別が出来ない数値だけが出るものだと思います。
ベルトールド
LB2000の仕様(カタログ)
LB2045の仕様(カタログ)

「ベクミル」については高エネ研の野尻さんのブログに機器の紹介やツイートのまとめがありますが、専門的で難しいので測定そのものに興味のある方にお薦めします。逆に言えばLB2045はいきなりお店にいってすぐ使いこなすのは難しい?かもしれません。
個人的には土壌サンプルを持ち込んで測定してみたいと思っています。もし利用する機会(予定)のある方は是非感想などお寄せ下さい。

あと、ゲルマニウム半導体検出機や「検出限界と定量下限」の話についてはまた別の記事で触れたいと思います。
とりあえず前者については三重大学の勝川先生のブログや先ほどの記事で紹介した大地を守る会などが参考になります。

(by otto)

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