子どもを放射能からまもる会in千葉
終わりの見えない福島の原発事故。情報を集め、調べ、必要な声を上げて行こう

セシウムの体内蓄積と排出(尿検査)について

尿のセシウム検査については7月2日の崎山先生の講演会の質疑の時に時間の関係で十分お答えをいただく事が出来ず、その後「放射線Q&A」の内容においても十分触れる事ができませんでした。
崎山先生はご承知のように多くのシンポジウムや県内外の講演で大変多忙にされており、引き続きお問い合わせは継続していますが、その後もご質問や情報提供等をいただきましたので現状で理解している点をまとめました。

(1)主に食品を介したセシウムの体内蓄積と排出について

『チェルノブイリ大惨事、人と環境に与える影響』の著者であるアレクセイ・ネステレンコ(現ベルラド放射線安全研究所所長)らが作成した「長期汚染地域の住民のための放射線防護の実用的手引き」はメーリングリストで会員の方から情報提供をいただきました。この場をかりて感謝します。

言葉(訳語?)は硬いのですが内容は平易です。とはいうものの読み通すにはそれなりの忍耐と時間を要しますが、それだけの価値はある重要な資料だと思います。(下のリンクをクリックするとファイルが開きます。)

長期汚染地域の住民のための放射線防護の実用的手引き

この文書と日本語訳の由来については京都大学放射線生物研究センターにある解説を御覧ください。

(下図は本文より)
セシウム摂取

上図はCs-137を一日1ベクレル摂取し続けた場合子ども だと約300日、成人だと約600日で摂取と排出が「生理的平衡状態」になることを(絶対値で)示しています。
「放射線Q&A」で市川定男の「環境学」の一部を引用しましたが、自然核種であるカリウム40は成人(体重60kg)の体内には約4000Bq(67Bq/kg)が含まれていますが、それ以上増えも減りもしません。セシウムの様な人工核種が問題なのは摂取量に応じて平衡量が増加する、つまり上限がないことです。

下図は1万ベクレルのセシウムを1日で摂取した場合の体内のセシウム量の推移を年齢別に表したものです。5歳未満の幼児の場合100日で約95%が排出されますが、逆に言えばその時点で過去の被ばく量を推定することが困難だという事、また成人の方が代謝が悪く長期にわたって影響を受ける事もわかります。

セシウム排出

WBC(ホール・ボディカウンター)または尿、便の検査による体内セシウム量(被ばく量)の推定については

5.3.1 第一段階:全身の計測データの収集
放射能摂取のおおよその「履歴」を再現するためには最低限次のパラメーター値が必要です。
全身の計測値(単位:BqまたはBq/kg)※
計測日
その人の年齢と体重
一度のみの計測ではいつ何をどれだけ摂取したのかの情報がなければ、摂取量や被ばく量の計算には役立たないことに注意されたい。

という重要な記述があります。
※WBCの場合はCPM(カウント数)で表記される場合もあります。

(2)尿中のセシウムの量(Bq/L)から体内のセシウム量を推定するには

尿中濃度から預託実効線量の計算はどうすればよいですか?

上記URLにもあるように、当事者の年齢、セシウムの摂取の時期、および経路(経口または吸入)の情報が必要です。(預託線量などの説明は別記事で扱うため省略します。)この計算式そのものは見当たりませんでしたが、上記URLで紹介されている
放射線医学総合研究所のMONDAL から
「グラフ検索フォームへ」をクリックし
表示される入力フォーム から
「公衆による吸入摂取」または「公衆による経口摂取」を選びます。
「核種」はCs-137(または134)を選択し「次へ」をクリックします。
「吸入」の場合「吸収が速い」を選びます(幼児の場合)
「残留率/排泄率」は「一日当たり尿中排泄率」
「どちらのグラフを選びますか?」は「放射性核種の体内残留量や排泄率」を選びます。(もちろんパラメーターを変えて何度も選択しなおす事が可能で、直接「預託実効線量」を表示させる事もできます。)
「表示」をクリックすると以下のグラフが表示されます。

Cs01Cs02


左側が吸入の場合、右側が経口(食物から)による摂取の場合について上記の操作で得られたグラフです。(上記の「長期汚染地域の住民のための放射線防護の実用的手引き」と異なりグラフの縦、横軸とも対数目盛になっていますのでご注意下さい)
吸入の場合は10日前後で体内のセシウム量に対する尿から排泄されるセシウムは 1/100、その後急激に低下し100日経過後は1/1000から1/10000に減少します。
経口摂取の場合は減少のペースが緩やかであることがわかりますが100日経過後は同じく1/1000以下になります。

そこで最初の
「尿中濃度から預託実効線量の計算はどうすればよいですか?」

に戻って、その説明にあるように摂取が均等と仮定した場合、例えば1000ベクレルのCs-137を吸入、経口のいずれかによって摂取したとしても10Bqづつ100日摂取した場合と、100日前に500ベクレル、その後5Bq/日のペースで摂取した場合では体内のセシウム量の推定も、預託実効線量も異なります。

Cs摂取形態による時系列


従って尿検査も「長期汚染地域の住民のための放射線防護の実用的手引き」にあるように最低2回行いその変化量を確認しなければ体内蓄積量と被ばく量の推定はできないと思われます。

「現在のセシウム量」を直接知るのが目的とすればWBC(ホール・ボティ・カウンター)が優れています。ただし、ご覧になった方もおられると思いますが、8月27日に放送されたETV特集「ネットワークでつくる汚染地図3」で木村真三氏が絵を書いて説明されていましたが、預託線量の推定、算出には「いつ、どこで、何をしていた、何を食べたか」という問診的な調査の結果との突き合わせが不可欠と思われます。

最後にICRPによる「実効/等価/預託線量」モデルについては東大の児玉先生やECCRからの批判もあり、その妥当性については議論があるという事もご了解下さい。

<参考資料>
チェルノブイリ事故による放射性物質で汚染されたベラルーシの諸地域における非ガン性疾患 ユーリー・バンダジェフスキー
非常に専門的な内容ですが、放射性物質(セシウム)のリスクは数十年後のガン、白血病の確率的影響だけではなく心臓疾患(心電図異常)との関係は注意を要します。

チェルノブイリ救援中部 南相馬市放射線量率調査結果

参考1),2), 3)でウクライナ保健省などにによるナロジチ地区の健康調査の結果がまとめられています。
幼児や疾患を抱えた人ほど放射線の影響を受けやすいため、免疫抵抗力をつける事は大切ですが、ナロジチ地区の悲劇は、彼らが化学物質や添加物に汚染されていない野山の食物(自然の恵み)を多く摂取していたという不条理にあります。

バンダジェフスキーも「一度取り込んだセシウムを排出するより摂取しない方がはるかに容易だ」と言っていますが、ベクチンもセシウムだけを選択的に排出するのではなく、ビタミン、ミネラル類も同じく排出してしまいます。(ビタペプトは排出されるビタミン、ミネラルを補う成分が配合されています。お菓子の材料として市販されているベクチンは糖分が添加されている事にも注意して下さい。)

たまに汚染食品を食べても大丈夫か?

「がんばろう福島・茨城方式」で摂取した場合の見積り(給食など)


放射能に特効薬はなく、何かを積極的に摂取することで「放射能に負けない体」を作ることは不可能です。
惣菜類は市場希釈がある程度期待できますが、そのためには産地が片寄ったスーパーでの買い物は避ける、情報を集め毎日一定量を必ず食べる主食の産地は十分吟味するなどを実行するだけでも摂取量を低減することは可能だと思います。(仕事などでやむを得ず外食する場合もご飯だけでも自前で持ち歩くなど)
悲しい事ですが自然食品も産地で選ぶ時代になったという事かもしれません。


内部被曝検査センター=RHC・JAPAN≒RHC・USA

(by otto)

関連記事

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://protectchildren311.blog.fc2.com/tb.php/155-d55d8647
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。