子どもを放射能からまもる会in千葉
終わりの見えない福島の原発事故。情報を集め、調べ、必要な声を上げて行こう

文科省が「20ミリシーベルト」を撤回?

NHK 学校の放射線量に新たな目安
というマスコミ報道が先行しましたが実体は8月26日付けの福島県への通知です。

福島県内の学校の校舎・校庭等の線量低減について(通知)

内容を簡単にまとめると
  • 4月19日付けのいわゆる「20mSv暫定基準」3.8μSv/h 屋外活動1時間制限 は元々4月以降,夏季休業終了(おおむね8月下旬)までの期間を対象とした暫定的なもの
  • モニタリングを通して放射線量の状況が明らかになった
  • 土壌除去が進んだ?
  • 現状では校庭・園庭において毎時3.8μをこえる学校はない。
  • 夏季休業終了後,学校において児童生徒等が受ける線量については,原則年間1mSv以下とする
  • 校庭・園庭の空間線量率については毎時1μSv未満を目安とする
  • 毎時1μSvを超えることがあっても,屋外活動は制限しない→除染が「望ましい」
  • ICRPの「放射線被ばくは,社会的,経済的要因を考慮に入れながら,合理的に達成可能な限り,低く抑えるべきである」(防護の最適化の原則)という考え方を踏まえて実施する
  • 学校等における平均的な空間線量率の測定方法や,雨どい下や植物の周囲等の局所的に線量が高い場所を把握する

まず撤廃?される「20mSv基準」とは何だったのかですが(一部内容を引用)

「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方」等に関するQ&A

また、厚生労働省における放射線被ばくの労災認定要件は、労災認定の観点から、労働者への補償に欠けることのないよう定められたものです。
これらは、「暫定的考え方」のもととなっているICRPの年間1―20ミリシーベルトとは観点を異にするもので、これらを単純に比較することは適切ではありません。

問題は文科省が根拠にしている「ICRP2007勧告」が「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」等の国内諸法規と整合性がない=法的正統性がない超法規的措置だということで「観点」の違いではありません。法解釈に厳密な官僚が間違うわけが無く確信犯的な誤読です。これは「何が安全か?」という神学論争に入る前に押さえておかなければならない重要なポイントです。

それをふまえて上記の通知の内容を見ていくと
  • 文科省は「安全側」を強調するが4月19日の時点で校庭線量の把握は十分でなかった。
  • そもそも3月15日~23日までの大規模放出による公衆被曝(特にヨウ素)は考慮外
  • あくまで「学校内」での授業時の被曝量であり課外活動、通学路、生活圏は含めない
  • 「1mSv を目指す」のは夏休み後の新学期から、それ以前の被曝量はリセット
 
という非現実的、非科学的なものでなんら「安全側」ではありません。さらに被曝について「社会的,経済的要因を考慮に入れながら,合理的に達成可能な限り,低く抑えるべきである」とありますが「社会的、経済的要因」についての評価は千差万別でムラ社会ならいざしらず近代社会で公共的合意を取り付けることは困難であり、政府(国家)が一意的に押し付けるべきものではありません。

従って唯一可能な社会的合意は「リスクの取り方は人によって違う」「当事者の意思決定を尊重する」という事しかありません。
行政のなすべきことは「正確な情報=判断材料の提供」と「自力でリスクを取れない弱者の保護=サービスの提供」であって価値観の押し付けで安上がりにすまそうというのは間違いです。

実はこのことは千葉市の熊谷市長が選挙の時のミニ集会で教育問題についておっしゃっていたことそのままです。政策は妥協も必要ですが理念を簡単にくつがえす方に行政の長としての資格があるかは議論のあるところだと思います。

議論の前提として「リスク(危険)とベネフィット(利益)」の天秤が成り立つためには「社会が持続可能である」という要件が不可欠です。従って「子どもや(妊娠可能な)女性は社会が守る、賭金にしない」というのは政治、宗教を超えた普遍的な真理です。ですから幼児虐待やDVについては「当事者の意思決定」とはみなされず公権力による介入が認められているのが「社会的合意」です。

先日のETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図3」については感想が寄せられていますが、木村真三氏の住民と向き合う姿勢は強い印象を与えたようです。一対一で向き合い「論理で説得する」のではなく「事実で納得してもらう」のは本当に難しいのです。事実を隠し空中楼閣の様な論理をいくら精密に構築しても公権力への信頼は回復できないだろうと思います。

以下文科省「通知」の「別添資料」

除染に関する緊急実施基本方針について


除染に関する緊急実施基本方針(原子力災害対策本部)(PDF形式:249KB)

市町村による除染実施ガイドライン(原子力災害対策本部)(PDF形式:534KB)

学校における放射線測定の手引き

福島県内で一定の放射線量が計測された学校等に通う児童生徒等の日常生活等に関する専門家ヒアリング(第2回) 配付資料

渡邊明氏提出資料 (PDF:947KB)
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