子どもを放射能からまもる会in千葉
終わりの見えない福島の原発事故。情報を集め、調べ、必要な声を上げて行こう

空間線量と土壌放射能濃度

まもる会の会員で「福島の米」についてレポートを送っていただいた方から
農水省が公開した 「農地土壌の放射性物質濃度分布図」の作成について
メールで教えていただきました。

農地土壌の放射性物質濃度分布図等のデータについて(データー一覧)

農地土壌放射性物質濃度調査地点図(PDF:1,028KB)(全体マップ)

福島県「中通り」の汚染については言を待ちませんが、その方も驚かれていたようですが、栃木県北部(那須塩原)の汚染度には刮目させられます。

betu3.jpg

地域別の測定ポイント毎の数値も公開されています。
農地土壌中の放射性セシウムの分析値 千葉県


下図は千葉県のデーターから千葉市近郊の部位を抜き出したものですが、東葛以外では市川、八千代、佐倉の水田の400~600Bq/kgという値が目立ちます。
まもる会では南房州海岸線の空間線量を測定してきましたが、いすみ、御宿を除いておおむね100Bq/kg以下となっているようです。
chiba_prf_cs.jpg

更に興味深いのは農水省が推奨する空間線量から土壌放射能濃度を推定する簡易換算式が公開されたことです。元々深耕する農地の場合は文科省の「表土5cm→65倍換算」にあてはまらないので(表土-15cm採取)直接市街地での評価に利用できませんが、私たちの調査での
「草地は土中のセシウムが移動しにくく空間線量、土壌放射能濃度とも高い傾向」
「砂地は他より線量、土壌濃度とも低い傾向」などの経験的な知見から納得できるもので、係数の重み付けについては大いに参考になります。

農地土壌の放射性セシウム濃度の簡易算定法
キャプチャ

以下のグラフはまもる会で行った土壌採取時の1m空間線量とゲルマニウム半導体検出器による土壌放射能濃度を比較したもので元のデーターは「土壌調査結果一覧」から抜粋したものです。
Soil_Air.jpg
都市公園の場合、農地に比べると利用形態の違いははるかに小さいのですが、それでも砂地、植栽、芝地などの状態によって係数が異なることが推定されます。上のグラフを見ると一応一次の相関関係は認められますがバラつきが大きいのは、そうした理由によるのかもしれません。

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土壌放射能濃度について(ゲルマとの比較)

予告したように、これまで「子どもを放射能からまもる会in千葉」で行なってきた土壌調査(ゲルマニウム半導体検出器)で分析機関に依頼した試料を「しらベル」のEMF211(NaI(Tl)スペクトロメーター)で再測定して結果を比較しました。

HPGe-EMF211.jpg

データーの一覧
ゲルマニウム半導体検出器とEMF211の比較
 EMF211  ゲルマ
 Cs137Cs134 Cs合計(Cs合計)
みはる野公園1402105424562400
横戸公園343264607484
みつわ台401308709583
坂月川上流1328102523532400
宮ノ谷公園274201475484
横戸緑地511388899802
宮野木中央公園410333743840
山王ふれあい公園409318727780
北磯辺公園139106245280
打瀬1丁目公園203162365410
あすみが丘公園6956124148

EMF211での測定方法ですが、試料を350mlポリ容器にビニール袋を介して充填、蓋をテープで密封したものを、さらに検出器や遮蔽体の汚染を防止するためにビニール袋に入れ二重にして1検体30分計量しました。
350mlポリ容器は計数効率(精度)では不利ですが、2000Bq/kg超の高汚染の土壌を取り扱うため取り扱いの容易さを優先させました。

CIMG2066.jpg

ゲルマによる定量と言っても分析機関(千葉県環境財団、薬剤師協会検査センター、山形県理化学分析センター)使用機種(Canberra,Ortec)測定時期などが異なります。(測定結果から明確な傾向は見受けられませんでした)
ややバラつきが目立ちますがゲルマニウム半導体検出器を用いた場合でも相対(繰返し)誤差は10%程度、NaI(Tl)シンチレーターでは2~3倍と言われていますので、含水率の相違などを考慮しても一応満足できる結果と考えています。

今後は予告通りに、ちば市民測定室「しらベル」に土壌測定を依頼しますが適時山形県理化学分析センターに依頼してゲルマとNaIとの比較検討も継続して行う予定です。



土壌放射能量の測定について

(1)土壌放射能濃度と含水率(比重)

「土壌調査まとめページ」で含水率と放射能濃度の関係について触れましたが、実際にデーターを取ってみましたので公開します。

試料は千葉市内の公園の土壌で雨水による濃縮が起きている部分で採取した試料を一旦よく乾燥させてから攪拌して材料を取り分けます。(300g×3個)

1個はそのまま、他は50cc(50g)と100cc(100g)水を加えて、NaI(Tl)スペクトロメーターで放射能濃度を測定します。加水すると多少膨潤して体積が少し変わりますが、誤差範囲として無視してあります。

それぞれの比重を計算して放射能濃度測定結果と比較したのが以下のグラフです。
当たり前といえば当たり前ですが、同じ土を測っても(元の重量は同じ)含水率が高くなると直線的に「放射能濃度」が小さくなるようです。(Bq/Kgは重量あたりの数値)
Soil_Rad_Density.jpg

水がγ線を遮蔽をすることは良く知られていますが(逆にγ線の減衰率から含水率を推定する方法があるようです)、スライム状の泥水ならともかく大きな影響は受けていない様に見えます。

上の例だと雨が降ってぬかるんだ状態と乾燥して飛散するような状態では倍濃度が異なるというのが判ります。

分析機関によっても含水率の測定をデーターに添付している所としていない所、またはオプションで別料金で対応している所など色々の様です。
含水率の測定は電位差を用いた簡便なものもありますが、そもそも含水率以前の体積の正確な測定も非常に難しいのです。

環境省 一般廃棄物処理事業に対する指導に伴う留意事項について

3 測定分析
(1) 単位容積重量
2の試料を容量既知の容器に入れ三○cm位の所から三回落とし目減りしたならば、目減り分だけ更に試料を加える。
単位容積重量(または見かけ比重)は、次式(1)により算出する。
単位容積重量(kg/m3)=試料重量〔kg〕/容器の容量〔m3〕…(1)
(2) 水分
3の(1)に用いた試料を秤量したのち、乾燥器等を用いて105℃±5℃で、恒量を得るまで乾燥し秤量する。
水分は次式(2)により算出する。
水分(%)=((乾燥前の重量〔kg〕-乾燥後の重量〔kg)〕/乾燥前の重量〔kg〕)×100…(2)

文科省 緊急時におけるγ線スペクトル解析法

乾土率の求め方
① 使用する磁製るつぼまたは磁製皿等の試料容器の風袋重量を秤り、記録する。
② 湿土試料数十g 程度を試料容器中で平らになるようにならし、重量を測定する。
③ 試料が舞い上がらないよう、風量を調節しながら、105℃に設定した熱風乾燥機で数
時間程度恒量になるまで乾燥させる。
④ 試料容器をデシケータ等に移し、1 時間程度放冷後、重量を秤り、風袋重量を差し引
いた後の試料重量を乾土重量とし、記録する。
⑤ 乾土重量を湿土重量で除し、乾土率とする。

分析機関の方に電話で問い合わせた所、含水率については上記の様に加熱乾燥式で行うとの回答を得ましたが、この辺の話は知識が乏しいので詳しい方からフォローいただければ助かります。

ms.jpg

上図は加熱乾燥水分計(エー・アンド・デイHPより)


(2)土壌中の自然核種について


先日お伝えした山形県理化学分析センターに依頼した千葉市内5公園の土壌測定結果ですが、正式の報告書が届きましたので公開します。

分析機関による土壌放射能濃度報告書(picasaWebアルバム)

下図は宮野木中央公園のゲルマニウム半導体検出器によるスペクトル
Smiyanogispect.jpg

土壌(農産物も同じ事ですが)には半減期が非常に長いウラン238系、トリウム系列の「自然核種」が含まれています。これらの中にはセシウム134と極めて近いエネルギーものがありますが、NaI(Tl)シンチレーターではこれらを分離することは不可能です。
例えば605KevのCs134と609KevのBi214は何時間測ろうが分離できません。(「あさイチ」での首都大ようにゲルマニウム半導体検出器を使用しても間違える場合もあります。)

従ってNaI(Tl)シンチレーターの場合余分なものまで数えている可能性があり、どこまで行っても「あいまいさ」は残ります。
「ゲルマとの比較」も質の違うものを比べているという点は押さえておく必要がありますが、(どこまで精度を求めるかによりますが)(1)で述べた含水率よる違いよりはるかに小さいものだという点も同じように重要です。

4月1日「しらベル」のオープンセレモニーの予定

4月1日のちば市民測定室「しらベル」のオープニングセレモニーの概要が決定したのでお知らせします。

日時 13:30~14:30
場所 ちば市民測定室「しらベル」
sirabellMAP.jpg

来賓(敬称略)
熊谷俊人 千葉市長
福武公子 弁護士(高速増殖炉もんじゅ訴訟弁護団事務局長)
佐藤努  福島県楢葉町民 原発事故避難者 市原市在住

20120122121730891.jpg
佐藤さんには自作の唄をお願いしています。

その他に千葉市在住の営農者や若いお母さんのアッピールも予定しています。

14:30より測定デモンストレーション

スペクトル解析が出来るフリーソフトBeqmoni

まもる会で使用しているCsI(Tl)シンチレーター線量計ClearPulseA2700(MrGamma)はコネクターを入手してケーブルを自作しPCと接続することにより簡易なスペクトル分析が可能になりセシウム137,134をある程度特定することができます。
これまでスペクトル解析ソフトとしてシドニー大学が無償で配布しているPraが定番でしたが国産のすぐれたソフトが開発されています。

DIYで食品放射能測定

現在ベクモニ0.953というβ版が公開されていますが正式版の公開が楽しみです。
ベクモニは本来GS-1100Aのようなスペクトロメーターと(すくなくとも)1×1NaI(Tl)シンチレーターの組み合わせで使用するものですがA2700でも使用できます。
Praと比較すると入力レベルが自動調整(WindowsVista以降)されるのと入力パルスのシェーピングが自動で行えるので大変便利です。(Praの最新バージョン4.1.2でも一部対応しているようです)

BqMoniKCL01.jpg

上のグラフ(スペクトル)は自宅1階床付近で測定したもので濃い青の部分が「バックグラウンド」でMrGamma本体の表示は0.043μSv/h程度です。灰色のバックグラウンドに降り積もった様に見えるのは塩化カリウム(やさしお)にMrGammaを近づけた時の増分でこの時のMrGammaの表示は0.06~0.07μSv/hでやさしおによる影響は約0.02μSv/hと見積もれます。

Soil_miyanogi-pLog.jpg

上のスペクトルは稲毛区内で採取した土壌でジプロックの上からMrGammaを当てた時のもので縦軸は対数表示になっています。(MrGammaの表示は0.15μSv/h程度)
796Kev付近のセシウム134の単独ピークはきれいに分離していますが605Kev(Cs134)と662Kev(Cs137)は分離できず1つの山になっていて全体にドロンとした印象です。

線量計の場合は核種のピークというより散乱線による全体のかさ上げでカウント数を稼いでいるのが判りますが、そういう意味ではMrGammaを使ってセシウム量を精度よく特定するのはあまり実用性ありません。ただし、簡易的に「500Bq/kg以上、以下」といった目安を知るという目的なら条件付きで使用可能です。
(コリメーター(遮蔽)で周囲の影響を遮ればもう少し精度が良くなるかもしれません。)

実はEMF211のような精度の高いγ線スペクトロメーターも原理的には同じ事をしています。
放射能濃度(Bq/kg)がわかっている試料(最低2つ)のピークからバックグラウンドを引いて2つの試料での山の高さを比較すれば濃度とカウント数の関係が判ります。

下の図は「文科省 放射能測定シリーズ No7  ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリー」にあるものを一部改変したもので著作権的には...。

RadNo7.jpg
小学校の運動会の玉入れの絵に見えますが、エネルギーの大きい核種ほど(初速が大きい)遠くへ飛んで、より右側の「さや」の中に落ちます。ある時間観察すると核種ごとにピークが見えてきますが、例えばセシウム137の場合だとゲルマニウム半導体の場合ほぼ1本の「さや」に落ちますがNaI(Tl)シンチレーターの場合はばらつきがあるので上図の三角形の範囲の玉の数を数えなくてはいけません。
面倒なのは元々「さや」の中にはバックグラウンドという「赤い玉」が最初から入っているので、その分を引いてやらなければ正確な数が判りません。
さらにピークが重なっている場合はもっと面倒な計算をしなくてはなりませんが、ベクモニにはそうした計算機能もついていてユーザーが係数を調整することができます。(下図のROI編集)

ROI.jpg

もちろん、MrGammaで食品の検査が出来るわけではないのですが、食品放射能濃度検査器がどういう仕組で数値を出しているのか、線量計も同じですが「スイッチを押して出た数値を信じる」のではなく「何をはかっているのか」「どうはかっているのか」を知りたい人にはイチオシのソフトです。

参考記事
牧野淳一郎氏 TA100による食品のスペクトル測定

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