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モバイルサーベイヤーのためのGoogle3Dグラフ入門(もどき)

線量計の数値とGPS測位データーを同期させGoogleMapに表示する事はHSFに限らずGammaRAEⅡやHoriba PA-1100やらじだすでも可能で個人サーベイヤーの皆さんがマップを公開されています。
大それた表題をつけましたが、要はそうしたデーターをGE-graphを使ってコード(プログラミング)レスで3Dグラフ表示を行う為のメモです。(ただしテキストファイルの操作は必須で、さらにPerlやPythonのようなスクリプト言語の心得があれば言うことはありません)
大洗-ひたちなか周辺のHSF車載測定マップ(3D版)
 hitatinaka_sv3D-2.jpg 

1)GE-graphのインストール

GE-graphのインストールには以下のリンクの一次配布元からzipファイルをダウンロードする必要があります。
GE-Graph: Graph for GoogleEarth
(上記サイトの最下段の Download the full installer of GE-Graph 2.2.21(2287 k) - v. 2.2.21 をクリック)

インストールには管理者権限が必要ですが、解凍後インストールの途中にVisualBasicのRuntimeのバージョンチェックが行われ当方の環境(Windows7-32bit)では「より新しいVersionがインストールされているが残すか?」と言ったダイアログが表示されました。(「残す」を選ぶのが無難)
なお今回Windows7(64bit)、Windows8及び8.1での動作は確認していませんのでご承知ください。

2)利用可能なデーター形式
GE-graphで利用可能なファイル形式はkml(Keyhole Markup Language)とタブ区切りのテキストファイルです。
・タブ区切りテキストの例を下図に示しますが、データー配列は [PlaceName] [Latitude] [Longitude] [Value] の順番でなければいけません。PlaceNameは省略することが出来ないので連番を使用しています。なおHeader(見出し行)は不要なので(あれば)削除しておきます。
GEG2.jpg
GE-graphではデリミタを指定したり自動判別することは出来ないようで、何故かCSVファイルの読み込みは失敗するので事前にタブ区切りテキストにコンバートしておく必要があります。
上記のデーターを「File」→「Openfile」から読み込むと画面右下のグリッドにデーターが表示されます。
GEG1.jpg
右下のグリッド内のデーターの修正、追加、削除等は可能ですがGoogleFusionTablesの様に列(Column)の属性を後から変更(入れ替える)ことは出来ません。

・KMLファイルについては <description></description>間の構文解析までしてくれないので、HSFの吐くKMLファイルはそのままでは使用できません。詳細は省略しますがHSF地図作成ソフトにはCSVファイルを吐く機能があるので前記のようなファイル形式に変換する必要があります。
その他の機種については出力ファイル形式に依存しますがKMLファイルをKMLCSVconvertorなどでテキストに変換、ExcelやGoogleSpreadSeatなとの表計算ソフトかTextEditorの置換機能を利用して整形するという手順になると思います。

・データー数が少ない場合は「File」→「New」からグリッドにデーターを手入力(コピペ)する方が早いかもしれません。

3)3Dグラフの作成

実際に入力したデーターから3Dバーグラフを作成する手順ですが、まずパネルの説明を行います。
GE_3D01.jpg
・左上から「3D」にチェックを入れます。
・「Polygonsides」でバーの形状(最小=3は三角形で数値を多くするほど円に近づきます)を指定、上の例だと「四角形」です。
SizeHeightColorはそれぞれ固定値(Constant)を使用するか「Value」のレンジで可変にするかを指定します。上の例ではSizeのみ固定、他はAccordingとしています。(Sizeを固定にしたのでバーのサイズを右下で「50m」と指定しています。)
ColorはValueのレンジに合わせたグラデーション表示色を指定しますがで1~7までのパターンのほか8番目としてユーザーが下位(Light)と上位(Dark)を指定(パレット使用)、カスタマイズが可能です。右側のColorOutline(輪郭)の使用不使用と色の指定を行います。(上の例だと不使用)
・右下の「Labels」はバーグラフ脇に数値や場所を表示、非表示するか選択します。上の例だとValueだけ表示、数値は小数点2位まで、フォントを黄色に指定しています。
Titleに日本語は使用できません。(見事に化けます)
・各種の設定はFile →「Save options」で保存、「Load options」でリロード出来ます。(Saveすると「マイドキュメント」の下に*.ggoというファイルが出来ますが中身はテキストなのでメモ帳等で中身を見ることが出来ます)

設定が完了したら「Run」をクリックすると「ファイル名をつけて保存」のダイアログが表示され、KMZまたはKML形式で保存出来ます。なお「Open in GE」にチェックを入れておくと出力ファイルを読み込んでGoogleEarthが立ち上がります。
HSFによる柏市大堀川流域河川敷の線量マップ
ohhorigawa_doserate.jpg

その他については省略しますが、ソフトの操作自体は簡単ですが見栄えの良いグラフを作るには試行錯誤というかセンスがモノを言う個人的には最も苦手な分野です。

4)2Dグラフの作成

「2D表示って...オリジナルと何が違うの?何の役に立つの?」と思われるかもしれませんが、とりあえずGraphTypeを3DFlatに変更するだけです。
GE_02.jpg
同じくRunをクリックしてGoogleEarthで表示してみます。
柏-大島田(16号線)柏-我孫子(6号線)周辺のHSF車載測定マップ
柏-我孫子車載2D-2
GoogleEarthやGoogleFusionTablesのようにマーカーに輪郭(黒)が無いので縮小したり、元の「密度」によって黒くつぶれて汚くなりません。(サイズや色を自由に選べるのもメリット)
画面がうるさくなるので数値は非表示としていますがGoogleEarthのサイドバーでName/Valuesのチェックを外す事でインタラクティブに切り替えることが出来ます。
GE_03.jpg
3D 表示マップはこちら
柏-我孫子車載3D
こちらがオリジナル
柏-我孫子車載
定形業務?でパラメーター決め打ちでよければkmlやcsvからスクリプトで一挙に3Dグラフ化も可能かもしれません。
今回のデーターを置いておきますので興味のある方は是非!
20140303車載.txt

20140303車載2D.kml
20140303車載3D.kml

〈参考資料〉
地理屋にできること-わたしの地理的スキル-
KMLファイル作成マニュアル

日光の放射能 測定について
福島/いわき市放射線/放射能情報
Togetterまとめ 放射線のプロット場所自動取得
データロガー・ガイガーカウンタ キット T-GMK2
こばさんのwakwak山歩き
ちょっとすごいロガー
SafeCast

Pico Tech - Survey Links
みん(@donbemin)さんによる東北サーベイマップ(GammaRAE II R)2014年4~5月
@tkimura6502さんによる「7色プロットツール」用タブ区切りテキスト集
いぐだま(@igudama)さんによるつくば市周辺サーベイマップ(Radi PA-1100) 2013年

〈関連記事〉
HSFユーザーの為のGoogleFusionTables入門(もどき)
HSF(ホットスポットファインダー)Ver3.0がリリースされました
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アルマジロとFitzPeaks NaIによるベクレル定量超入門(もどき)

本記事ではアルマジロ(CsIシンチレーター)とFitzPeaksNaIについて取り扱いますが時間の無駄を省くため、最初に重要な点を述べます。

・FitzPeaksNaIはWindows用プログラムですがWindows7(64BitVersion)では動作しませんでした。記事の内容はWindows7(32BitVersion)によるもので、WindowsXPでの動作も確認しています。(Windows8は未確認)
・この記事はアルマジロをターゲットとしていますがチャッピー検出器や他のシンチレーターでも有効です。
・中、高濃度の試料中のセシウムを「ザックリ」定量することを目的としていますので「セシウムしか測定しないのはけしからん、アルマジロでプル系、ウラン系を調べたい」「1ベクレル以下まで検出したい」とチャレンジされているエキスパートの方には無益な内容です。

1)「ベクレル定量」のおさらい
試料に含まれるセシウムのベクレル量を求めるには核種ごとのピーク面積(計数率)をベクレル量に換算する必要がありますが、アルマジロやチャッピーの様に検出器が単体で販売されている場合、ユーザーが容器ごとに換算係数を自分で実測し決めなければなりません。

γ線測定によるCsの定量入門

「ベクモニ」は定量を目指す個人測定者の方が良く利用しているソフトで、多くのベクレルモニターと同様に上記の和田先生の資料にある「ROI(関心領域)」中のγ線の計数率からベクレル量を求めていますが、NaI(CsI)検出器を使用する場合に以下の問題は避ける事ができません。

・分解能が低いので662keV のCs137を605keVのCs134あるいは609keVのBi214と分離して単独で計数できない。
・K40(カリウム)を含む試料ではコンプトン効果によりセシウム領域(600~800keV付近)の計数が嵩上げされる。

NaI(Tl)シンチレーターとHPGeのスペクトル比較(SEIKO-EG&G HP より)
LaBr3_201403071644033f4.jpg  
アイソトープ協会の頒布しているCs137、134の単独体積線源を使えば他核種の影響を受けずに計数率の校正ができますが、高価で個人で入手するのは困難なため通常はHPGeなどで定量しベクレル量が既知の環境試料を使用するのでハードルが高くなります。

「ベクモニ」では605keVのCs134と662keV のCs137の計数をまとめて勘定し796keVのCs134の計数(に係数をかけた値)を減算する、K40の計数からセシウム領域(600~800keV付近)での嵩上げ分を推定してセシウムから減算するなど結構面倒な処理を行っていますが、137,134,K40の計数が循環的な参照関係にあるため実測値から換算係数を得るのは入門者の「前歯を折る」ような難しさがあります。

下図はその辺りを手抜きして簡略化できないかと、EMF211で測定した高カリウム試料のスペクトル画像にお絵かきソフトで「えいっ」と目見当でピーク形状(面積)を手書きしたものです。662keVのCs137のピークは高エネルギー側のスロープを先に引き軸対称(二等辺三角形)と仮定し、コンプトン散乱の連続スペクトル(赤線)で足切りして正味のピーク面積?を青色で表示してあります。
K40andCs.jpg
「あまりに適当すぎる」との厳しいご意見もあると思いますが、世間にはピークがないのにヒゲ1本で数値を出したり、同位体比が異常(Cs134がCs137の2、3倍)なデーターでも平気で「検出」してしまうおちゃめなベクレルモニターもありますが、「お絵かき法」では
・そもそもピークがなかったり、計数が少なくギザギザだとマトモに線が引けない
・多少温度ドリフトしても人間が目で追従
など「大間違いはしない」という点では決してバカにしたものではありません。

2)FitzPeaks NaI (関数適合法)とは

前記の「お絵かき法」は誤差(不確かさ)の様な洒落たものは出ませんが「もう少しもっともらしく(数学的な方法で)線が引けないか?」という考えるのが人情です。最小自乗法は「測定点との誤差(の絶対値)の合計が最小になるように線を引く」方法の一つと言えますが、筆者の能力とググれば良サイトが沢山あるので説明は省略します。
kaiki.jpg
前振りが長くなりましたがFitzPeaks NaIはJF Computing Servicesが無償で配布している関数適合法によるγ線スペクトロメトリー解析プログラムです。
FitzPeaks Gamma Analysis and Calibration Software

「FitzPeaks」はHPGeまたはCdTeなど高分解能検出器向けなので必ずHPの最下段にある
”There is also a version of the software available that is optimised for low resolution detectors such as Sodium Iodide. An evaluation copy of FitzPeaks NaI can be downloaded by clicking here ” のリンクからFitzPeaks NaIを取得します。

保存したinstall_nai.exeをダブルクリックするとc:\Program Files\FitzPeaks NaIにインストールされます。(管理者権限が必要)

FitzPeaks NaIについてはBasamaさんのブログ FitzPeaks NaIを用いたスペクトル分析 から
PRAおよびFitzPeaks NaIを用いたγスペクトル分析法

をダウンロードして読み込んでおく事が必須です。本記事では上記PDFと重複する内容は省略し補足、追加事項についてのみ取り扱っています。

3)FitzPeaks NaIへのデーターの取り込み
basamaさんのドキュメントではスペクトルデータ-の採取にはPRAを使用されていますが、ベクモニやThereminoMCAの吐くCSVファイルやTXTファイルも読み込むことができます。
下左図はPRAが出力するTXTファイル、下右図はベクモニの出力するCSVファイルでともに「メモ帳」やExcelで開くことができます。
PRAのTextファイル                ベクモニのCSVファイル
SPRATXT.jpgSBqMoniTXT.jpg

ベクモニのCSVファイルはHEADERがなく、1行目からデーターになっているのとデリミタ(区切り文字)がカンマである他は「一行がエネルギー/カウント数」の同一フォーマットです。
ベクモニのデーターをFitzPeaksNaI読み込ませるには「ファイルのプロパティ」から拡張子を*.csvから*.txtに変更し
FitzPeaksNaIの「Setup」「General」メニューでファイル形式とHeaderLineを確認(変更)します。(ファイルの先頭に空の改行を入れてもよいでしょう)
Ft13.jpg
ThereminoMCAの出力ファイルは下図の様にHeaderが10数行あるので同じように調整します。(1行を残しHeader自体を削ってもOK)
SThereminoTXT.jpg

PeakSearch」や「PeakFitting」の中で処理する上限チャンネルを指定する項目がありますので少なくともK40(1460.8keV)のピークが収まるように設定する必要があります。(元々分解能の悪いNaIやCsIで不必要にChannel数を増やしてもPCのリソースを消費するだけで大した意味はないかもしれません)
Ft15.jpg Ft14_201402211330252e4.jpg

実はFitzPeaksNaIには「Setup」→「MCAsetup」でMCAの出力を直接読み込む機能があるので、USBCodec経由でアルマジロの信号を入力してみましたが下図の様にスペクトルらしきもの?は描画しますが、パラメーターを変えてもCsの光電ピークが現れません。たぶんハードウエアMCA(PZ回路やBLR回路)でShape(整形)された信号しか受け付けないのかもしれません。(「そんなことはない、ちゃんとできる」など情報をお持ちの方は伏してコメントをお願いいたします)
FpMCA.jpg

basamaさんのドキュメントに従って前段取りが終わったらベクモニ+アルマジロで採取したCs137標準線源とK40のスペクトルデーター(下図)を読み込んでみます。
Bq_Cs137_K40.png

Analyse」→「PeakSearch」 をクリックすると複数のピークが検出されますがドキュメントにあるようにエネルギー校正に不要なピークは削除しCs137とK40のピークだけ残します。
  Ft02.jpg

Calibrate」→「Energy」 をクリック 表示されるピークのエネルギーが適切なら左最下段の「OK」をクリックします。
Ft04.jpg  

次に「Calibrate」→「PeakShape」をクリックし左側フロートメニューの「Perform  Energy Tailing Calibration」にチェックを入れるとFittingを始めます。
Ft07.jpg

Fittingが完了すると下欄にサマリが表示されます。下図の青枠にはCs137のピーク計数と誤差を表示しています。Fitting結果は右欄のピーク一覧から該当するエネルギーをダブルクリックするか上欄の「PulseShape」アイコン(赤枠)をクリックすると繰り返して見ることが出来ます。
Ft06.jpg

ここまで来たら校正結果を「File」→「Save Calibration」から「検出器校正データー」として一旦保存します。これ以降は「Setup」→「General」から検出器毎の校正データーを呼び出す事が可能になります。(ただしEnergy/channelなど同一条件で採取された一意性のあるデーターに限ります。)
Ft08.jpg

保存された校正データーを使用してアルマジロ+ベクモニで採取した環境試料(汚染土壌)のスペクトルを読み込んでみます。
(下図は500~700keV 付近 右端の山がCs137のフィッティング結果)
Ft09.jpg

同じくCs134(796keV)のフィッティング結果
Ft10.jpg

下欄に表示されているAreaの数値は計数ベースなので他のデーターと比較し放射能濃度と関連付けるためにはLiveTimeで除算して計数率ベースに直しておく必要があります。

下図は西日本で採取されたCs137のみ検出(約300Bq/kg)された特殊な環境資料をアルマジロ+ThereminoMCAで測定したスペクトルデーターをFitzPeaksNaIでFittingした例です。(keV/chの対応がベクモニと異なるので校正データーは検出器ナンバーを変えて保存してあります)
Th02.jpg

下図はThereminoMCAでのオリジナル表示ですが「最小エネルギー」で指定した低エネルギー側は画面上表示されませんが、TXTデーターには保存されているようです。なお上図での100keV以下のピークは受光素子(P.D)のノイズです。
SThereminoMCA_2013_11_01_22_05_47.jpg

本来のFitzPeaksNaI使用方法ではこの後にBackGroundデーターの登録、計数率の校正に進み最終的にはレポートを出力する事が出来ますがBasamaさんのドキュメントに詳しいので本記事では省略します。

ただ特にこだわりのある方は除き、目的が個人測定でバックグランドにコンタミによるピークがなければ省略しても良い気がします。むしろ「一点校正」より放射能濃度が既知な複数の試料を繰り返し測定して妥当性を検証してみることが重要だと思います。(暴言多謝)

こうしたK40を含む循環的な参照関係を使わず直接137,134のピーク計数を求める方法にはJAEAによる簡易法があります。

NaI(Tl)スペクトロメーターでセシウム134と137を個別に定量する簡便な手法を開発(お知らせ)

この方法についても後日実データーで確認してみたいと思います。(Excelのキーマクロで実現できそう?)

なおご質問、ご指摘事項などはコメント欄かTwitterでメンションしていただければ能力の許す範囲で対応いたします。(個別のDMには対応できませんのでご了解ください。)

〈関連情報〉
日光の放射能 測定方法2
Pico Tech - Peak Fit With R
Pico Tech - Peak Fit With Octave
NaIのスペクトルからCs134,137のγ線強度をpeak fitで求める

スペクトルのフィット1

追記
1.basamaさんのドキュメントにあるカスタムファイル *.enc、*.shpファイルをc:\Program Files\FitzPeaks NaI 配下に置くには管理者権限が必要です。XPに比べてWindows7はその辺がうるさくなって使い勝手が悪いのでスペクトルデータの置き場所は Setup→Directories→Other Spectra Directory で C:\Users\<UserName>\Documents\Spectra などにしておくのが良いかもしれません。

2.FitzPeaksNaI付属のhelpファイルは古い形式でコンパイルされたバイナリファイルなので参照するにはWindowsのversionに対応したWinHlp.exeが必要です。 http://support.microsoft.com/kb/917607/ja

3..basamaさんのドキュメントのp.14で指定する「PeakSearch Library」は前ページで作成した「Cs_k.lib」が正しいと思います。同様にドキュメントに明記されていませんが「Setup」→「Quantitative」で指定する 「Analysis Lirary」も「Cs_k.lib」を指定しています。


アルマジロとThereminoGeigerによるおうちMP(もどき)

 1インチCsI(Tl)結晶とP.D(フォト・ダイオード)を使用した超小型シンチレーター方式γ線検出器アルマジロtype3についてThereminoMCAと組み合わせてスペクトルを観察するまでの話は以前の記事でまとめました。
アルマジロとThereminoMCAによるスペクトル入門(もどき)その1

順当に行けばベクモニを使用したベクレル定量なのですが、なかなかハードルが高いのと過去にロシア製2.5インチCsI(Tl)検出器を用いた記事を書いたことがあり基本的な方法は同じなのでそちらをご覧になっていただくとして、今回はアルマジロの計数率と線量当量率との関係を調べる事にしました。

測定方法ですが、Cs137線源、トリウムマントル、汚染土壌などの線源を用意し、CDのプラケースを積み重ねて線源と検出器のクリアランス変えながらHSFの示す線量率とアルマジロの計数率(cps)を交互に記録するというザックリとしたものです。
HSFは時定数1秒(移動平均5秒)の15秒間の平均値(下図はバックグランド線量を測定したキャプチャー画像)を記録しました。
20131224_212846.jpg

アルマジロはThereminoAudioInputのカウント出力をThereminoGeigerに入力し計数率(count per second)
の60秒間の平均を求めました。
ThereminoGeigerについては以前の記事を参照願います。
ロシア製2.5インチCsIγ線検出器(その5 ThereminoGeigerについて )
0059.jpg

結果を下のグラフにまとめました。横軸はHSFが表示した線量率、縦軸は同じ条件で測定したアルマジロの計数率(cps)を示します。
DoseRatevsCount.jpg
このグラフから1μSv/hの時の計数率が566cps cpmだと60倍して約33000cpm/[uSv/h]となります。
前回のロシア製CsI(Tl)検出器では計数率が高すぎてA/D変換器のサンプリングが追いつかず0.8μSv/h付近で飽和していましたが、アルマジロでは倍程度の線量率でも一応直線性が保たれているようです。
メーカー公称値は25000cpm/[uSv/h]ですが個体差を考慮しノイズマージンを安全側に見積もったと考えれば妥当な数値だと思います。
なので面倒な事が嫌いな方は25000cpm/[uSv/h]という係数でザックリ線量率を求める事が出来ます。(ただしその数値を個人としての判断に用いるには必ず出荷時に(簡易)校正された線量計との比較が必要です)

念のためですが、今回の実験は「校正」でも「簡易校正」でもありません。校正された機器との比較であっていわゆる「標準化」(もどき)であることはご了解下さい。(「校正」は任意の距離における強度が既知であるCo60やCs137のγ線を照射して行うもので、そうした設備を持ち校正証書を発行できる機関は限られています)

いずれにしろ計数率だけ見るとMrGammaの10倍以上の感度があり、いつもながらですが5mm角のP.Dでよくぞこれまでと思う位の集光率です。

ThereminoAudioInputは以前紹介したGMCLoggerのようにパルス波形を見ながらしきい値やデッドタイムを設定することが出来ませんが。ThereminoMCA自体がグロスカウントを表示してるので、カウント出力をThereminoGeigerに渡せばcpsやザックリ換算した線量率とスペクトルを同時に表示することが出来ます。
下図は同じ線源のアルマジロの出力をThereminoMCAとThereminoGeigerを併走させ同時に測定したものです。
tg7.jpg
Geigerの計数率が391cps MCAの計数率は358cpsと1割程度少なくなっています。条件(線量率)を変えて測定するとMCAのカウント数はGeigerに比べ1~2割程度少ないようです。これはGeigerが単純にパルスの個数を数えているだけなのに対してMCAでは分解能を確保するために「最小エネルギー」による足切りと「ベースラインテスト」の設定値にもとづいて波高値が正確でない一定の数のパルスをReject(捨てている)している為だと思います。(逆に言えばThereminoMCAの「エネルギーイコライザ」を使用しエネルギー範囲ごとに重み付けしたカウント出力が得られれば簡易的に「エネルギー補償」ができることになります。)

現状でも机の上に置いたアルマジロをNotePCに接続してThereminoGeiger,MCAを並走させれば一定時間間隔で線量率(cpm)とスペクトルを記録したり、siteにデーター(画像など)をUPできる「おうちMP(もどき)」が実現できますが、ここまで来ると移動測定(HSFもどき)に利用できないか?という欲目が出てきます。
前回の記事でも引用させていただいたtkimura6502さんの移動サーベイのtoggeterまとめですが

放射能測定器「アルマジロ」を徒歩移動測定に転用してみた。 

armadillo_survey.jpg

ノイズの正体を確かめる為に(kgFが設定できる加振機などというしゃれたものは持ちあわせていないので)「指ではじく」という原始的かつ野蛮な方法でアルマジロをいじめてみました。(故障の原因になるので真似をしても責任は負えません)

下図はアルマジロに接続したピンプラグの根本を指で弾いた際のスペクトルとThereminoGeigerのチャートです。(FIR-平均化時間は1秒に変更してあります)
TG09.jpg
ThereminoGeigerのチャートには指での打撃と同期してパルス状のノイズ(赤丸)が確認されています。

下写真は1インチCsI結晶と基板ですが、集積度の高い基板の両端に質量の大きい結晶とケーブルがぶら下がるとプレス打ち抜きのアルミケースでは剛性不足は否めません。ミニピンプラグ自体も計測器に使用するには役不足ですが、プロの技術者である大久さんには二百も合点な話でコストやバックキャビティなど実装を考慮した上での選択だろうと思います。
4469s_20131228125632793.jpg

開発者へのフィードバックと同時に(元々屋外移動測定は想定されていないので)ユーザー側で上蓋にユーザー側でもステンレスプレートを接着して補強する、ヘッドホンなどで使用されているL型のピンプラグと交換してホットメルトでケースに固定してしまうなどの手立てを取る価値はあるかもしれません。最低限コネクター部分に機械的なストレスをかけないようにする必要がありそうです。
すでにAudioCodecを組み込んだUSBケーブル1本で動作する「デジタルアルマジロ」が開発されていますが、この辺の問題がどうなっているのか気になるとことです。
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